日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー[U]
「デジタル印刷の用途別ソリューションと対応する
       CMS/Proofシステム」


講師 潮 貞男氏・柳川 尚氏氏
第2部
富士フィルムグラフィックシステムズ(株)
 
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  3.印刷基準管理の運用形態
印刷基準の管理の運用とは

  色基準の運用形態といのは、まず、印刷機で再現できる安定再現が可能な状況を出します。テストにいくと、「今日は良いものを出してやるぞ」といって無理やり作って、明日は出来ないということ。
  いつもの作業で、当然印刷機は整備されてよりよい状態になっていて、無理なく刷れる標準的な状態で刷った印刷物が標準です。そこから生み出されるチャートからいろいろな色を拾いながら、それをその印刷機の癖としてとらえます。それは悪い意味ではない。こういう癖を「プロファイル」ということになります。色の基準を管理するということで「プロファイル」という言葉にな
  ります。
  「プロファイル」は印刷機であれ、カメラであれ、みんな持ちます。その癖を知っているから、そのプロファイル、癖をちゃんと見透かしてやれば同じように色表現できることになります。
  たとえばAさんの出すプリンタはいつも赤い。私の出すプリンタはいつも青い。では、この青いという癖があるなら、青みを減らしておけばいいではないか。それを全部デジタルでやるわけです。
  そういうことを押えながらやれば、直しとか初校とか二校、校了というような話ではなくて、一気通貫、もともとの基準にあわせて前工程をすべてデジタルの形のなかで色を押えることができる、という論理です。
 
 
 
デジタルワープロでのカラーマネジメント
  印刷物にさかのぼって安定した印刷ができる色校正を出して、スキャナー、RGBのデータを整えていくことが、CMSを行なっていくことになります。
  一番大事なところは印刷ですよというところは、まったくこのCMSでも同じところになります。すべてはアウトプットから決まります。
  デジタルプリンティングで、たとえば当社のデジタルプリンタを使います。そうすると、それぞれの癖がありますから、同じ前工程でやっていても、その癖に合わせて出してやればいいのです。それはデジタルでやろうがプレスでやろうが、一緒です。
  今、ワークフローはアウトプットを問わないという方向にきています。要は、
 
 
  印刷機を使おうが、デジタルプリンティングを使おうが、我々は「プリプレス」という言葉を使っていますが、それはどちらでもいい。アウトプットの癖をちゃんと知っておけば、前処理はうまくやれます。
  実はCMYKはキーワードだと言いました。うちの50%と、よそさまの50%を同じに刷れるかといったら、絶対刷れないです。では、色の話をするとき、Cがいくら、Yがいくらと言っているのはおかしいと思いませんか。
要は、共通の物差しで色の話をしていないのです。
  共通の物差しとして、Lab等がありますがきっちりとデータ管理しましょう。これもCMSの一つなのです。
 
 
 
  カラーマネジメントの実際 色の標準化
  同一データだからと言って必ずしも印刷の仕上げは一緒ではないということを言っているわけです。
  なぜかといったら、もし同一データでAという印刷機もBという印刷機もできていれば、それを保有されている会社は標準的なデータを作られていることになるかもしれません。同じデータでも、その印刷機の癖に合わせたプロファイルという形できっちりと押さえましょう。
インキのベタ濃度はいくらですか、トラッピングはいつも一定ですか、というようなことは、同一データであっても違うのだとわかっていますから、そのあたりをしっかりと押さえてください。色の標準、色基準を決めてください。
 
    もっと言いますと、うちの色基準があります。業界全体の色基準があります。ひょっとしたらクライアントさんも色基準があります。しかし ひょっとしたらうちのほうでは刷れないかもしれないということも考えられるわけです。
  ただ、先ほど言いましたように、もともと広いカラーフィルムから再現域の狭い印刷物にするときに、濃度域を狭めているわけです。それでお客さまはオーケーを出すわけです。
  なぜかといえば、カラーフィルムと印刷物の印象が一致するからです。印象が一致するということは、どういうふうに圧縮すればいいか、というところまで考えていくわけです。そんなことを考えながらデジタルとして押さえる必要があるということです。
  日本規格を作って、どこの印刷会社で刷っても同じですよ。これを国際規格にしませんかということです。要はデジタルで製版データを作っておくと、どこの印刷会社に持っていっても刷れます。ただし、インキとか紙はしっかり押さえておかなければいけません。
  週刊誌がトヨタの広告を打つのに、A週刊誌であっても、B週刊誌であっても、C週刊誌であっても、全部同じように出して下さい。ただし データはその基準カラーに合ったものを反映して下さいと言う。当然これに対応するためには、自社に基準がないとそのデータを受け入れられないのです。
  まず考えられるのは、標準印刷、色基準をつくるということです。似ているものもありますが、紙が違えば違います。印刷機が違えば違います。版胴サイズが異なると違う可能性があります。インキが変われば変わります。
そのあたりをどうやって把握していきながら基準カラーを作るかということが一番大事なところです。
 
 
 
  例1 雑誌広告基準カラー
  今、雑誌広告で基準カラーを作っているところでは、こういう形で作られています。
  しかし、一番大事なのは、自社の色基準を作ること。そこからCMSが出発します。これはフォームであっても商業印刷であっても、版がグラビアであってもオフセットであっても、考え方は全部一緒です。ぜひ一度、自社の印刷というものを考えていただければと思います。
 
 
カラーマネジメントの要素
  カラーマネジメントの要素というのは、こういうものを必ず言います。ICCというのは、国際的に決めた、先ほど言った癖を把握するための約束事です。
  色変換ソフトウエア(CMM)というのは、カラーフィルムやテレビモニターみたいに広い再現域を持ったものを、印刷物のような再現域の少ないものに変換したとき、印刷物の印象を近づけさせるようなソフトウエアツールです。
  さらに、測色器やプロファイルを作成する。測色器というのは、絶対系の数値になります。%数値ではない。色の共通語できっちりやっていく。
 
 
 
 
  協力グループ会社との色基準共有化
  フォーム業界としては、こういう基準がフォーム輪転のなかの一つの基準となれば、お客様に対して、業界全体での取組みが可能になるかもしれません。
  また 一社一社が基準を作られれば、外注先の色に合わせた変換するツールも可能になります。それはデジタルになっているからこそ出来ることなのです。
 
 
  後戻りの少ないデジタルワークフロー カラーマネジメント運用
何度も繰り返しますが、共通した色基準を自社で出来る。業界で出来る。グループで出来る。お客様と出来る。これが大事なことです。
 
 
  i-Color QCの印刷基準管理運用
  今、新聞社さんなどはどういう方向に来ているかというと、ぎりぎりまで下版時間を長くとるため、紙でのプルーフをやめ、印刷機側のモニターにプルーフを出しています。
プルーフと言はなくても、お客さまの原稿がきたとき、あるいはお客さまと会話するとき、自社でちゃんと色が評価できるようなモニターをお使いですか。「蛍光灯の色温度はどうですか」まずそういうところから出発してみてください。
 
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