日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー[U]
「デジタル印刷の用途別ソリューションと対応する
       CMS/Proofシステム」


講師 潮 貞男氏・柳川 尚氏氏
第2部
富士フィルムグラフィックシステムズ(株)
 
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 FFGSの潮です。平素大変お世話になっております。
  引き続きまして、非常に大上段に構えた題名なのでちょっと恐縮しておりますが、先ほど大日本スクリーンさんのほうがデジタルワークフローCTPというお話をされました。我々の認識でも、先ほど出ました数字、CTP化率、デジタル化率などはかなりのウエートで進んでいます。先ほど大日本スクリーンさんがおっしゃったとおりの数字です。この18年度に入り、今、我々が把握している数字では50数%のCTP化率になっております。かなりの勢いでさらに進んでいるということだけは間違いありません。
        
  その背景のなかでCTP化をいかに進めるかということと同時に、ひとつ節目を迎えていまして、CTP化への成熟と、もう一つは、デジタルプリンティングのあり方、要は、デジタルワークフローの行き着く先が一つは節目を迎えていて、プレスプリンティング、我々がいままで馴染んでいたプレスによるプリンティングと、もう一つは、トナーだったり、インキジェットだったりするデジタルプリンティングの有り様はフォーム業界さんにとってどういう意味をなすのだろうか。
デジタル印刷がどんな状況にいくのだろうかというあたりを、DTPも含めて先に見せてくれるのはアメリカですので、デジタル印刷のアメリカの状況を参考にしながら、皆さまのお仕事に役立てていただければというところで、最初に柳川が説明いたします。
  それから引き続きまして、いったいデジタルプリンティングにとって、あるいはCTP化にとってデジタルワークフロー、CMSとはどういうことなのだろうかというところを私のほうからお話しさせていただきたいと思います。
  それでは、柳川のほうから先にお話しさせていただきます。

 
「米国視察情報」 
柳川 尚氏

皆さん、こんにちは。富士フィルムグラフィックシステムズのPOD事業部におります柳川と申します。名前のとおり、PODというのは、プリント・オン・デマンドです。この名前が本当に正しいのかどうかということもありますが、最近は、オンデマンド印刷というのではなく、デジタルプリンティングという感覚で我々は主にゼロックス製品を中心にやらせていただいております。
今日は、フォーム業界ということですが、つい先月、商印のお客さまがメインでしたが、12社17名で、デジタルプリンティングが進んでいる米国に視察と
 
 
  いうことで行ってまいりました。そのユーザー事例を含めてデジタルプリンティングの動向を中心にお話しさせていただきたいと思います。

この数字は?

  まず、お配りの資料のなかには入っていなかったと思いますが、「280,000 →200,000 」「50,000→24,000 」と数字が並んでいます。
  この数字は何でしょう。これは、2000年から2005年の間に推移した印刷会社の数です。はじめの数字がヨーロッパ全体の数で、28万事業所あったのが20万に減っています。次の5万社あった会社が2万4,000 になったのは、皆さん景気がいいと想像されているアメリカの印刷会社の事業所数の推移です。
  では、日本の印刷会社はどうかというと、同じような割合かと思います。ただ、これでみると、28万と分母が大きいので8万減っており半減しています。日本はそこまでいっているかどうかくらいだと思いますが、そういう状況です。
  それから「180,000 、3,400,000 、4兆7,000 億、19兆、7兆」という数字が並んでいます。この「7兆」というのは、日本の印刷業界の売上高です。「19兆」はアメリカの金額です。「4兆7,000 億」が、今、急成長している中国市場の印刷の総売上です。単位は円です。
  「18万」というのは、今現在の中国での印刷会社の印刷工場の数です。すでに18万もある。「340 万」というのは、印刷業界に携わる人の数がすでに340 万人ということです。このようにますます伸びているという数字が出ております。

 それでは、これからアメリカの印刷市場、おもにデジタルを含めての動向の話になります。
 
 

  印刷市場の変化
  フランク・ロマーノというロチェスター工科大学の教授が、2001年、印刷市場の動向をグラフに出してきています。
印刷部数は、2004年でフルカラーの78%の印刷物がすでに5,000 部以下になっている。現在はもう3,000 部以下になっているのではないか。一件あたりの量のボリュームがどんどん小ロット化してきている。
納期は、24時間以内に納めるという仕事の数が全体の印刷物の仕事の33%。これも数字がどんどん短納期化が進んできている。24時間ですから、受注して次の日には納めるという状況になってきている。
 
    バリアブルコンテンツは、すべてのデジタルカラープリントの30%はすでに何らかの形で可変データが入ったデータになってきています。これもますます伸びる傾向にあるということです。
 
 
 
バリアブルプリントのトレンド
実際に数値でいうと、2001年に、写真、その他バリアブル、可変データが入ったプリントが含まれる市場が25億ドルだったのが、2004年に60億ドル市場になっている。今は2006年ですから、さらに増えているのではないかと思われております。

VPに関する米国RITの調査から
VP(バリアブルプリント)に関する米国RITの調査では、印刷会社の46%は、可変印刷に注目をしている。業種でいえば、金融系:20%、製造業:18%、教育:15%、ゲーム関連:14%。
それから印刷会社さん自身の売上増のために何を付加サービスとして追加しているかというと、コーティングなどの後加工(17%)です。(キッティング15%、データベース管理13%等)ということで、こういうバリアブルとか、それ以外の後加工を含めた付加価値サービスが非常に重要視されてきています。


 
 
 
PODの効用
  よくオン・デマンドの話になると、マーケティングをどうするかという話が中心になります。いきなり「黙っていてもこういうバリアブルの仕事をやってよ」ということはありえない。逆に印刷会社さんのほうから「こういうことをやりましょう」と営業をしていかなければいけないのですが、主に三つあります。
  一つは、1to1です。あなたのDMを出しましょうということです。全部内容が違う1to1プリントです。
  JIT(Just In Time)。 要は即納です。 先ほど24時間以内の納期が増えてきている中で言うと、受注したらすぐ納めるという仕事がどんどん増えている
 
 
  し、逆にそういうサービスをしていかないと、仕事が他に取られてしまうということです。
  在庫抑制とか納期短縮というのは、今回見てきたアメリカのユーザーさんのなかでも一番大きいポイントかなと思います。在庫のスペースとそれにかかるコストは膨大になりますので、そのへんの効率を図るという意味では、デジタルプリンティングが非常に有効に使われております。
  インターネットを使ったパブリッシングの仕組み/サービスを提供する。回ったお客様は7社ありましたが、ほぼすべてのお客さまでWeb受注が前提になってきています。
 
 
 
  サービスプロバイダーの報告
  サービスプロバイダーという括りでいっていますが、バリアブルイメージ・カラーアプリケーションがもはや単純なメールマージではないということです。
  どういう仕事をやられているかというと、単純な宛て名印刷が全体の25%、複雑な1to1、写真も文字も1to1でバリアブルに入れている仕事はすでに40%。それから、たとえば東京版、神奈川版など、表紙だけを変えて中身を変えないバージョニングと呼ばれるセグメントの印刷物も35%の割合でやられている。
 
 

アテネオリンピックキャンペーン

  左は、富士ゼロックスのiGen3という最高速のデジタルプリンティングです。値段も高いのですが、それを使ってゼロックスさんが、アテネオリンピックの時に、山手線のなかで1両全部、オリンピックの速報版を朝の始発に間に合うように貼り出すというキャンペーンをやっております。アテネとの時差が6〜7時間あったと思いますが、2年前の事例です。
 
 
 
  トレインジャック
  「トレインジャック」と呼んでいましたが、このように1両まるごとアテネのオリンピックの速報をすでに実現していました。
<Printers Circle 別冊>
バリアブルのなかでも、大体こういうバージョニングのイメージです。中身は一緒です。表紙だけ関東とか地域で色を変える。こういうものもどんどん進んでおります。
 
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