6.印刷に使われる[紙]の基礎知識 ―よく分かる10のポイント―/印刷百科 - ぷりんとぴあの小箱
印刷用紙には、JIS規格(日本工業標準規格)で定められた正規の寸法があります。タテ880mm×ヨコ625mmサイズのA系列本判(ひと回り大きめの菊判というサイズもあります)、タテ1085mm×ヨコ765mmサイズのB系列本判(同じく四六全判)といった原紙が、印刷や製本加工に適するよう周囲に余白をもたせた規格寸法として定められています。
これを基本にした断裁仕上げ寸法も別途、JIS規格で定められていて、A全判は841×594mm、B全判は1030mm×728mmが正式寸法となっています。A全判を半分ずつ断裁、あるいは折っていくことによって、A半裁判(A2判)、A3、A4、A5判といった製品の仕上がりサイズが得られます。同じようにB全判からはB半裁判(B2判)、B3、B4、B5判といった仕上がりサイズが得られます。
参考までに、規格寸法も仕上げ寸法も、タテとヨコの長さの比率は、すべて1:ルート2の関係になっています。半裁にしても四裁にしてもタテヨコの比率は変わりません。また、B判はA判の1.5倍の大きさとなっていて、半裁であっても四裁であっても、この関係は変わらないのです。
出版の分野では、代表的な例として週刊誌はB5判、単行本はA5判やB6判が数多く使われています。また、商業印刷の分野ではポスターはA全判やA半裁判、パンフレットやカタログはA4判が多いといった具合に、慣習的に使い分けられているようです。
A判とB判の長さを縦/横に適宜組み合わせた変型判(AB判)もあり、実際に文庫本のような本の判型として採用されています。また逆に、全判の倍のサイズを倍判、4倍のサイズを4倍判と呼んでいます。
(1)重さ
紙の重さは、基本的に1平方メートル当たりのグラム数で表現されます。つまりg/㎡が単位となります。かつては1尺四方当たりの紙1枚の重さを「尺坪」といったこともあり、1959年にメートル法が施行された後も、1平方メートル当たりの重さについても業界慣習で「米坪」あるいは「坪量」と呼んでいます。この重さは一定の温度と湿度の下で測られた理論的な数値であり、紙の製造管理および取引契約上の共通の単位として適用されています。 実際の売買は商習慣上、原則として全判1,000枚(板紙の場合は100枚)=1連という単位(斤量)に換算しておこなっています。坪量が重ければ、必然的に斤量も重いというわけです。
一般的に「菊判○○キロ」「四六判○○キロ」といったりします。例えば雑誌の本文ページやチラシの場合、四六判55キロ(菊判38キロ)または四六判73キロ(菊判50.5キロ)が通常使われているようです。もちろん少し厚めの四六判90キロ(菊判62.5キロ)を使ったとしても一向に構いません。あまり薄い紙だと裏面に印刷してある文字が透けて見えますし、厚い紙ではページがめくりにくかったり折りにくかったりと、手扱いが悪くなりますので注意が必要です。
(2)厚さ
紙の厚さも通常、この1連を基準に重さで表現しています。同じ種類の紙であるなら、枚数は1,000枚と同一基準なのですから、重さの違いがそのまま厚さの違いを表すことになります。しかし、種類が違うと、同じ重さであっても厚さが異なってきます。
上質紙など非塗工紙はコート紙などの塗工紙より坪量が軽い分、厚さがあります。塗工紙のなかでも、無光沢のマットコート紙の方が光沢コート紙より厚さが出ます。本のボリュームや手にしたときの感触を決めるときには、このような紙の重さと厚さの関係を考えながら、使用する紙を選んでいるのです。もっとも最近では、繊維と繊維のあいだに空気を含ませることによって、坪量が軽くても厚さの出る低密度の紙(嵩高品)が開発されています。出版物などに盛んに使われていますので、現物を見て確認するのが一番よいでしょう。
抄紙機で紙がつくられるとき、パルプ繊維は水に溶かされた状態で流れの方向に沿って並んでいきます。乾燥すれば当然、目の流れは固定されます。これが紙に「縦目」と「横目」が生じる基本原理です。 最終工程で巻取紙のかたちに巻き取られますが、枚葉紙にするためには、さらにこの巻取紙を巻き戻して全判サイズに裁断していきます。このとき、紙の長辺に目が平行になるよう裁断したものを「縦目の紙」、短辺に平行なものを「横目の紙」と呼んでいます。半裁すれば長辺が横目、短辺が縦目となり、以下、半分に切るごとに奇数の判型なら縦目、偶数なら横目と交互に入れ替わっていきます。
流れ目の方向(順目)に紙を破った場合、パルプ繊維が邪魔しないので破れやすく、繊維が直角に入っている場合(逆目)は破れにくいという性質があります。湿度や引っ張りなどによる伸縮度に大きな違い(2~3倍)がありますので、印刷機に紙を載せるときは、流れ目の方向と紙を通す方向とが一致するよう気を付けています。そうすることによってカラーの色合わせや表裏の見当合わせが、より正確になるからです。
また、順目は折り曲げやすく、逆目は折り曲げにくくなっています。本をつくるときは、つねに本の背(綴じ側)と平行に流れ目がくるように、本の判型、印刷機にかける紙のサイズ、折丁にしたときのページ数に注意しています。流れ目が本の背と直角だと、ページが開きにくく、小口(めくる側)は波打ち、見栄えも手触りも悪くなります。社内吊り広告の場合は下側が丸まらないように、ケースに立てかける案内チラシの場合も倒れにくいように、目の流れを縦にすることが望ましいのです。
このように、流れ目は折りや曲げにさまざまな影響を与えますので、できるだけ効果を発揮できるようにするために、縦目あるいは横目のどちらの紙にしたらいいのか。印刷のサイズも考慮に入れながら、よくよく考えて選ばなければなりません。専門的なことは、印刷会社に相談すれば適切に対応してもらえます。
紙には、つるつるした表面とざらざらした裏面があります。紙を抄紙機でつくる際、まだ水分を含んだ状態のままベルトコンベア(ワイヤー=抄網)のうえに乗せて流していくのですが、このとき、クレー(白土)が浮きやすい原材料の上側を「表面」、抄網に接する下側を「裏面」といっています。この状態から乾燥させるわけですから、水分の重みを受ける下側には金網の跡がつくなどして、表面が粗くなってしまうわけです。 専門的にいうと、表面は平滑度と光沢度が高く、裏面は低いということになります。裏面はインキをよく受け着けるため、濃いめの色相となるのです。同じ絵柄を印刷したはずの見開きページの左右の色相が微妙に違うのは、このような理由があるからで、印刷会社ではこの差をあらかじめ計算して表裏の色相調整をおこなっています。最近では、ツインワイヤー方式の抄紙機が普及した結果、表裏の区別がだんだんつきにくくなっていますので、それほど心配することはないのかも知れません。
(1)白色度
人間の目では、わずかに青みを帯びた白の方が白色度が高いように感じますが、その反対に黄みを帯びた白、赤みを帯びた白の方が温かさを感じて好きだという人もいます。紙の白色度が高いと、色が鮮やかでコントラストの効いた絵柄となります。このような微妙な白さを表現するために、蛍光染料を混ぜたりある種の填料を加えたり、さまざまな工夫を凝らしています。
用紙の原材料となるパルプは、機械パルプ(木材を機械的にすり潰したもの)と化学パルプ(化学薬品で不純物除去、漂泊などが施されたもの)の2種類に大別することができますが、漂泊処理がなされていない機械パルプの割合が多いと、必然的に紙の白色度も低下します。化学パルプの含有率によって、上質紙、中質紙、下質紙の順に白色レベルが下がるのです。
ちなみに、古紙を多く使っている新聞紙や雑誌紙などが次第に黄ばんでいくのは、リグニンという油脂成分がパルプの原料となった木材のなかに含まれているからです。年月を経るにつれ、紫外線の影響を受けてリグニンが変色劣化してしまうのです。
(2)光沢度
紙の光沢は、紙の当たる光の入射角度と反射角度が等しい(正反射=鏡面反射)とき、高くなります。反射角度がまちまち(乱反射=拡散反射)だと光沢度が低くなります。
光沢を意識的に出すために、正反射となるよう表面の平滑度を高めたのがキャストコート紙であり、しっとりとした落ち着いた感じを出すために、紙の表面をわざと粗くして乱反射を起こすようつくられているのが、マット調のコート紙ということができます。非塗工紙である上質紙や書籍用紙は、パルプの繊維がそのまま表面に出ていますので光が乱反射し、読みやすい紙となっているわけです。
しかし、紙の光沢度が印刷した後でもそのまま保たれるかどうかは、また別の問題です。白いままの紙とインキが乗った印刷物とは、それなりの差があるのです。これは、インキの被膜が紙の表面に残るからで、その量が多いほど、印刷による光沢が高まる性質があります。紙の繊維密度が締まっていたり塗布層が厚かったりすると、インキに含まれる溶剤が浸透しにくく硬化が遅くなることから、光沢が高まる傾向がみられます。
艶消し効果を狙ってマットコート紙を選んだのに、印刷してみたら思わぬ光沢が出てしまったり、逆に、光沢が欲しいためにキャストコート紙を選んだのに、印刷したら予想以上に沈んだ感じになったりすることがあります。印刷会社では、このようなイメージの差をできるだけ避けるために、インキセット(インキが浸透、硬化、付着すること)の速さや、インキそのものの盛り量を微妙に調整しながら、望ましい光沢が出るよう隠れた努力をしていることをご理解ください。
紙を取り扱うときに必要な共通の基準があります
紙は印刷や包装に使われる産業用資材であるとともに、書籍やチラシなどに象徴されるように消費財でもあります。そこには自ずと、取引のため消費のための約束ごと、共通してもっておかなければいけない基準があります。そこで以下に、これらの幾つかをご紹介しておきましょう。1.規格寸法
縦横の比は1:ルート 2 、B判はA判の1.5倍印刷用紙には、JIS規格(日本工業標準規格)で定められた正規の寸法があります。タテ880mm×ヨコ625mmサイズのA系列本判(ひと回り大きめの菊判というサイズもあります)、タテ1085mm×ヨコ765mmサイズのB系列本判(同じく四六全判)といった原紙が、印刷や製本加工に適するよう周囲に余白をもたせた規格寸法として定められています。
これを基本にした断裁仕上げ寸法も別途、JIS規格で定められていて、A全判は841×594mm、B全判は1030mm×728mmが正式寸法となっています。A全判を半分ずつ断裁、あるいは折っていくことによって、A半裁判(A2判)、A3、A4、A5判といった製品の仕上がりサイズが得られます。同じようにB全判からはB半裁判(B2判)、B3、B4、B5判といった仕上がりサイズが得られます。
参考までに、規格寸法も仕上げ寸法も、タテとヨコの長さの比率は、すべて1:ルート2の関係になっています。半裁にしても四裁にしてもタテヨコの比率は変わりません。また、B判はA判の1.5倍の大きさとなっていて、半裁であっても四裁であっても、この関係は変わらないのです。
出版の分野では、代表的な例として週刊誌はB5判、単行本はA5判やB6判が数多く使われています。また、商業印刷の分野ではポスターはA全判やA半裁判、パンフレットやカタログはA4判が多いといった具合に、慣習的に使い分けられているようです。
A判とB判の長さを縦/横に適宜組み合わせた変型判(AB判)もあり、実際に文庫本のような本の判型として採用されています。また逆に、全判の倍のサイズを倍判、4倍のサイズを4倍判と呼んでいます。
2.重さと厚さ
全1,000枚を1単位として判断(1)重さ
紙の重さは、基本的に1平方メートル当たりのグラム数で表現されます。つまりg/㎡が単位となります。かつては1尺四方当たりの紙1枚の重さを「尺坪」といったこともあり、1959年にメートル法が施行された後も、1平方メートル当たりの重さについても業界慣習で「米坪」あるいは「坪量」と呼んでいます。この重さは一定の温度と湿度の下で測られた理論的な数値であり、紙の製造管理および取引契約上の共通の単位として適用されています。 実際の売買は商習慣上、原則として全判1,000枚(板紙の場合は100枚)=1連という単位(斤量)に換算しておこなっています。坪量が重ければ、必然的に斤量も重いというわけです。
一般的に「菊判○○キロ」「四六判○○キロ」といったりします。例えば雑誌の本文ページやチラシの場合、四六判55キロ(菊判38キロ)または四六判73キロ(菊判50.5キロ)が通常使われているようです。もちろん少し厚めの四六判90キロ(菊判62.5キロ)を使ったとしても一向に構いません。あまり薄い紙だと裏面に印刷してある文字が透けて見えますし、厚い紙ではページがめくりにくかったり折りにくかったりと、手扱いが悪くなりますので注意が必要です。
(2)厚さ
紙の厚さも通常、この1連を基準に重さで表現しています。同じ種類の紙であるなら、枚数は1,000枚と同一基準なのですから、重さの違いがそのまま厚さの違いを表すことになります。しかし、種類が違うと、同じ重さであっても厚さが異なってきます。
上質紙など非塗工紙はコート紙などの塗工紙より坪量が軽い分、厚さがあります。塗工紙のなかでも、無光沢のマットコート紙の方が光沢コート紙より厚さが出ます。本のボリュームや手にしたときの感触を決めるときには、このような紙の重さと厚さの関係を考えながら、使用する紙を選んでいるのです。もっとも最近では、繊維と繊維のあいだに空気を含ませることによって、坪量が軽くても厚さの出る低密度の紙(嵩高品)が開発されています。出版物などに盛んに使われていますので、現物を見て確認するのが一番よいでしょう。
3.流れ目
つねに意識する必要がある縦目か横目抄紙機で紙がつくられるとき、パルプ繊維は水に溶かされた状態で流れの方向に沿って並んでいきます。乾燥すれば当然、目の流れは固定されます。これが紙に「縦目」と「横目」が生じる基本原理です。 最終工程で巻取紙のかたちに巻き取られますが、枚葉紙にするためには、さらにこの巻取紙を巻き戻して全判サイズに裁断していきます。このとき、紙の長辺に目が平行になるよう裁断したものを「縦目の紙」、短辺に平行なものを「横目の紙」と呼んでいます。半裁すれば長辺が横目、短辺が縦目となり、以下、半分に切るごとに奇数の判型なら縦目、偶数なら横目と交互に入れ替わっていきます。
流れ目の方向(順目)に紙を破った場合、パルプ繊維が邪魔しないので破れやすく、繊維が直角に入っている場合(逆目)は破れにくいという性質があります。湿度や引っ張りなどによる伸縮度に大きな違い(2~3倍)がありますので、印刷機に紙を載せるときは、流れ目の方向と紙を通す方向とが一致するよう気を付けています。そうすることによってカラーの色合わせや表裏の見当合わせが、より正確になるからです。
また、順目は折り曲げやすく、逆目は折り曲げにくくなっています。本をつくるときは、つねに本の背(綴じ側)と平行に流れ目がくるように、本の判型、印刷機にかける紙のサイズ、折丁にしたときのページ数に注意しています。流れ目が本の背と直角だと、ページが開きにくく、小口(めくる側)は波打ち、見栄えも手触りも悪くなります。社内吊り広告の場合は下側が丸まらないように、ケースに立てかける案内チラシの場合も倒れにくいように、目の流れを縦にすることが望ましいのです。
このように、流れ目は折りや曲げにさまざまな影響を与えますので、できるだけ効果を発揮できるようにするために、縦目あるいは横目のどちらの紙にしたらいいのか。印刷のサイズも考慮に入れながら、よくよく考えて選ばなければなりません。専門的なことは、印刷会社に相談すれば適切に対応してもらえます。
4.表裏の違い
印刷の色相を変える微妙な違い紙には、つるつるした表面とざらざらした裏面があります。紙を抄紙機でつくる際、まだ水分を含んだ状態のままベルトコンベア(ワイヤー=抄網)のうえに乗せて流していくのですが、このとき、クレー(白土)が浮きやすい原材料の上側を「表面」、抄網に接する下側を「裏面」といっています。この状態から乾燥させるわけですから、水分の重みを受ける下側には金網の跡がつくなどして、表面が粗くなってしまうわけです。 専門的にいうと、表面は平滑度と光沢度が高く、裏面は低いということになります。裏面はインキをよく受け着けるため、濃いめの色相となるのです。同じ絵柄を印刷したはずの見開きページの左右の色相が微妙に違うのは、このような理由があるからで、印刷会社ではこの差をあらかじめ計算して表裏の色相調整をおこなっています。最近では、ツインワイヤー方式の抄紙機が普及した結果、表裏の区別がだんだんつきにくくなっていますので、それほど心配することはないのかも知れません。
5.白色と光沢
グロス調やマット調を演出する基本条件(1)白色度
人間の目では、わずかに青みを帯びた白の方が白色度が高いように感じますが、その反対に黄みを帯びた白、赤みを帯びた白の方が温かさを感じて好きだという人もいます。紙の白色度が高いと、色が鮮やかでコントラストの効いた絵柄となります。このような微妙な白さを表現するために、蛍光染料を混ぜたりある種の填料を加えたり、さまざまな工夫を凝らしています。
用紙の原材料となるパルプは、機械パルプ(木材を機械的にすり潰したもの)と化学パルプ(化学薬品で不純物除去、漂泊などが施されたもの)の2種類に大別することができますが、漂泊処理がなされていない機械パルプの割合が多いと、必然的に紙の白色度も低下します。化学パルプの含有率によって、上質紙、中質紙、下質紙の順に白色レベルが下がるのです。
ちなみに、古紙を多く使っている新聞紙や雑誌紙などが次第に黄ばんでいくのは、リグニンという油脂成分がパルプの原料となった木材のなかに含まれているからです。年月を経るにつれ、紫外線の影響を受けてリグニンが変色劣化してしまうのです。
(2)光沢度
紙の光沢は、紙の当たる光の入射角度と反射角度が等しい(正反射=鏡面反射)とき、高くなります。反射角度がまちまち(乱反射=拡散反射)だと光沢度が低くなります。
光沢を意識的に出すために、正反射となるよう表面の平滑度を高めたのがキャストコート紙であり、しっとりとした落ち着いた感じを出すために、紙の表面をわざと粗くして乱反射を起こすようつくられているのが、マット調のコート紙ということができます。非塗工紙である上質紙や書籍用紙は、パルプの繊維がそのまま表面に出ていますので光が乱反射し、読みやすい紙となっているわけです。
しかし、紙の光沢度が印刷した後でもそのまま保たれるかどうかは、また別の問題です。白いままの紙とインキが乗った印刷物とは、それなりの差があるのです。これは、インキの被膜が紙の表面に残るからで、その量が多いほど、印刷による光沢が高まる性質があります。紙の繊維密度が締まっていたり塗布層が厚かったりすると、インキに含まれる溶剤が浸透しにくく硬化が遅くなることから、光沢が高まる傾向がみられます。
艶消し効果を狙ってマットコート紙を選んだのに、印刷してみたら思わぬ光沢が出てしまったり、逆に、光沢が欲しいためにキャストコート紙を選んだのに、印刷したら予想以上に沈んだ感じになったりすることがあります。印刷会社では、このようなイメージの差をできるだけ避けるために、インキセット(インキが浸透、硬化、付着すること)の速さや、インキそのものの盛り量を微妙に調整しながら、望ましい光沢が出るよう隠れた努力をしていることをご理解ください。
(C) Copyright The Japan Federation of Printing Industries