6.印刷に使われる[紙]の基礎知識 ―よく分かる10のポイント―/印刷百科 - ぷりんとぴあの小箱
この紙はどんな印刷物に適しているのでしょうか
前項のように数ある「印刷用紙」のなかから、出版印刷、商業用印刷、業務用印刷といった一般印刷向けに使われる主な品種について、それぞれの特長と用途をご紹介しておきます。①非塗工紙
原料であるパルプ繊維が表面に浮き出ている状態のまま乾燥させた紙で、表面には顔料が塗工されていません。以下のような種類に分けられます。- 上質紙(化学パルプの比率が100%の上級紙)
印刷用紙として代表的な品種とみなされていて、汎用性に富むだけに、書籍、教科書からポスターほか一般的な商業用印刷物まで幅広く使用できます。 - 中質紙(化学パルプが40~90%含有する中級紙)
雑誌や教科書、書籍、電話帳の本文用紙として最適です。 - 下質紙(化学パルプの含有率が40%未満の下級紙)
雑誌の本文用紙に適しています(かつては謄写版印刷用に盛んに用いられていました)
②微塗工紙
非塗工紙の上質紙もしくは中質紙の両面に塗った顔料を、ロールコーターで薄くコーティングした紙で、スーパー掛けして光沢が出るようにしたものと、塗ったまま無光沢にしたものとがあります。雑誌のカラーページ、カタログやチラシなどの商業用印刷物によく使われています。③コート紙
上質紙もしくは中質紙の両面に比較的厚く顔料を塗り、ブレードやエアナイフで掻き取って平滑性を高めたものです。とくに、塗料の厚さを若干抑えた紙に「軽量コート紙」があります。上質コート紙の場合は、美術書、雑誌の表紙や口絵ページ、ポスター、パンフレット、カタログなどの商業用印刷物、カレンダーほかに、また中質コート紙の場合は、雑誌の本文ページやカラーページ、チラシなどに向いています。軽量コート紙はチラシ、通販カタログ、雑誌本文ページに最適です。④アート紙
上質紙もしくは中質紙の両面または片面に顔料を厚く塗工し、艶出しロール(スーパーカレンダー)を押し付けて表面を滑らかにした紙です。表面を光沢が出るよう加工したものを「グロスアート」といい、光沢度が高いことから印刷再現性にも優れ、カラーが鮮やかに刷れるという特長があります。白紙の部分を意識的に艶消し加工(印刷部分はグロスを維持)したものを「ダルアート」、さらに白色部分と印刷部分とも光沢を抑えるよう処理したものを「マットアート」と呼んでいます。高級美術書、雑誌の表紙、ポスター、高級カタログ、パンフレット、カレンダーなどに人気があります。⑤キャストコート紙
上質紙のうえに塗った塗料がまだ乾いていない状態で、鏡面のドラムシリンダーを当て、圧着したのちに乾燥させてつくります。鏡面が写しとられたかたちとなるため、表面の光沢度がきわめて高い紙が得られます。光沢度をより強めたものに「ミラーコート」があります。高級美術書、写真集をはじめ、雑誌の表紙、カタログ、高級パッケージの使用に適しています。(C) Copyright The Japan Federation of Printing Industries