印刷産業の環境対応早わかり10講
リサイクル対応型印刷物を製作していきます
環境問題に取り組むうえで、資源の有効活用、再生資源の利用はきわめて有効な対策とされていますが、印刷物の素材として欠かせない「紙」に関しても、森林資源の保護や廃棄物削減という観点から、古紙配合率の高い再生紙の採用が進んでいます。日本全体の循環資源の約1割を占めるほど重要な資源となっていますので、製紙業界と印刷業界が力を合わせて古紙利用率の向上に積極的に取り組んでいるところです。古紙には、新聞用紙、印刷・情報用紙などの「紙」向けと、段ボール、紙箱などに使われる「板紙」向けの用途があります。板紙の方が古紙利用率が高いのに対し、紙の場合はそんなに高くありません。それだけに、出版物や商業用印刷物などの使用済みの紙を、再度、印刷・情報用紙のための製紙原料として回収・利用していくことが要請されます。いわば「紙から紙へのリサイクル」です。
板紙や段ボールにしか再生できなかった雑誌古紙を、印刷用紙や事務用紙に使えるよう技術的に工夫することで、回収率の高い新聞紙と同じくらいに、リサイクル率を高めようというのが目的です。高い品質が求められることから、上質な紙が多く使われる出版物(雑誌、定期刊行物)や商業用(宣伝用)印刷物、業務用印刷物についても、一層のリサイクル化をめざしています。古紙の利用促進はかるには、①使用期間が短い、②発行物数が多い、③用紙の使用量が多い、④仕様が定形化している——などが狙い目です。
印刷会社は、自社でつくる印刷物自体についても、「リサイクル対応型印刷物」の製作に取り組み、紙はもとより、再製紙工程でトラブルが発生したり品質面での阻害要因になったりしないようなインキ、資材を使用しています。製本用、紙面加工用の糊についても、分離除去しやすい接着剤が開発されています。これらによって、まるごと再資源化が可能な印刷物を作成することが可能となります。
環境貢献の効果を上げるためには、印刷物を企画、仕様設計する段階から取り組むことが重要ですので、発注者の方々のご理解を得ながら推進しています。リサイクルしやすい(古紙として出しやすい)仕様のものを提案させていただいたり、リサイクルマークの表示をお勧めしたりしています。お客様にご採用いただけるよう、印刷業界はここでも製紙業界と協力し合いながら、リサイクル対応型の印刷物の提供に努めているのです。
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