私たちは今、そういうことを経営者の方も社員の方もわかってもらいたいと思って「経営塾」というものをやっています。これは無料です。6時半から8時半まで、月1回、年12回やっています。いろいろな方が見えられます。今月、土曜日にやったときは、170人の申し込みがありました。入りきれませんので2回に分けました。1回目が90人 2回目が60名くらい来ましたから、150人です。
無料ですから、来るも自由、来ないも自由なのです。ちゃんと資料まで用意してあります。そういう勉強会をやっています。お客様の社員まで対象にしています。今度6月以降は、財務体質の勉強です。バランスシートからやります。1月から5月までは損益計算書と販売戦略のことをやってきたのです。それもお客さまに数字に強くなってもらおう、社長だけでなく、幹部も、社員も強くなればよくなるのではないかということでやっています。 そしてきょうの上の表紙にもありますように、会社が必ずしもどこもいいとは限らないでしょう。悪くなったときにどうするかというお話をします |
つぶれそうになる会社があります。そのときに、これは、私たちは、うちの月次決算書に「汚い字シリーズ」という私のコメントを書いて必ず付けているのです。字がへたなものですから「汚い字シリーズ」と名付けています。
それで去年の9月号に「銀行員の裏話」ということで、こういう話を載せました。
私はこれからどんどん倒産が増えてくるのではないかとみています。資金繰りが困っているときの8,000万円の緊急融資が底をとうとうつきましたから。1月、2月に借りた8,000万円がそろそろなくなってきました。そうすると対応できません。銀行も、もともと体質のよくないところには追加融資しません。ですから、どんどん倒産するのではないかと思っています。
うちのお客さまも、今週、2社ほど、お客さまの取引先が倒産したという情報が入りました。1社は3,000万円で、1社は600万円。1社はものすごく儲かっている会社ですから大丈夫ですが、もう一社は危ないです。ですから、自分たちの会社や取引先が安全 |
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資料 汚い字シリーズ
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でも、取引先の取引先が倒産したら、危ないわけです。そういうことも念頭に置いておかないと、不渡りで会社が倒産します。
そして お金が詰まってきたらどうするかということです。先ほどもお話ししましたように、多くの中小企業は、利益で返済できない金額を返済しているのです。私たちは、必ず1年間の借入金返済計画をつくってもらうのです。そうすると、1年間でやると、返済額が1億円も2億円にもなっている会社があります。1,000万円の利益しか出ない会社なのに、5億円の借金で1億円も返済する。そういう会社も結構あります。絶対無理です。ですから、借りながら返しているわけです。返すために借りているわけです。そういう会社は多い。
でも、貸してくれるうちはいいです。銀行がお金を貸してくれなかったらどうするかという話です。
どうするかというと、貸し渋りにあったら、我々がやらなければいけないのは、返し渋りです。貸してくれなくなったら、返さないことが一番です。それを一番最初に考えないといけない。
貸してくれる銀行からまた返済する。貸してくれない銀行には返済しない。特に銀行さんが嫌うのは、長期の土地、建物の借金です。土地、建物が一番苦労する。土地、建物で多く借りている銀行には、売掛金の入金はできるだけなくしたほうがいいのです。そうすれば、その土地、建物の部分は多額の返済をしていますので、これがなくなると返済額がだいぶ少なくなって、会社は持ちこたえられるのです。だから、借金のない銀行に入金を集中しておくとか、少ない銀行に集中しておけば、そういう手も打てるわけです。 |
お金が足りなくなったとき、お金には色がついているのです。どういうふうかというと、まず絶対払わなければいけないのは手形です。手形は1円不足しても不渡り手形になります。100 %不渡りになれば倒産します。
2番目は、従業員給料は10〜30%は一時的に待ってもらえます。残りの資金をつくって、可及的速やかに支払ってください。
3番目は、材料代。50%くらい待ってもらえます。在庫処分、売掛金回収で支払う。
4番目は、会社を維持するための最低必要な経費は、1カ月間、水道光熱費、通信費、払わなくても大丈夫です。待ってくれます。
5番目は、金融機関への「金利」の支払い。
6番目が租税公課。源泉税、消費税、社会保険料、これだって、交渉すればどうにかなります。そのかわり金利は少々高くつきます。
7番目が、銀行などへの「元金」の支払いです。 |
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資料 お金には色がついている (画像をクリックして拡大) |
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ですから、資金につまったときに一番最初にやるのが、銀行への元金の支払い停止です。それを最初にやらなくて、どんどん支払手形を延ばしたり、銀行の借金を返済するために社員の給料を遅らせたり、いろいろなことをやる経営者もいる。でも、それは逆です。
一番最初にやるのは、銀行の元金の支払い。それが金額として一番多いのですから。売上と比較するのではないのです。利益と比較するのです。利益と借金の返済を比較する。先ほど言ったように、借金を返済するのは現金ですが、そのもとになるのは利益です。利益が出ていないのになぜ借金を返済できるのですか。利益が少なくて、借金が膨大だから資金が回らないのです。全然額が違う。ですから、そのためのリ・スケジュールの交渉をやらなければいけない。手形がなければそう簡単に倒産しません。そのかわり、営業キャッシュフローはプラスにしておかなければいけない。
営業キャッシュフローというのは、うちはキャッシュフローの計算表をつけているわけです。通常の商売の利益と売掛金とか買掛金が、通常の商売の利益はプラスにしておかないと、借金返済を止めたときにはお金が回らなくなります。それが前提なわけです。
大きくわかりやすくいえば、営業利益がプラスになるような体質にしないと、リ・スケジュールをやってもお金が回らなくなります。ですから、その間を、経費の見直し、売上のアップ、原価の見直し、そういうのをやりながら、営業利益をプラスにすれば、借金の返済をとめれば、会社が回っていって、その結果、1年、2年で体質を建て直せばまた返済できるようになります。
会社はできるだけつぶさないようにしないといけないわけです。皆さまのところでも、そこで働いてくれている社員と家族があります。だから、理想は、できるだけ支払手形を生み出さない方法はいくらでもあります。支払手形で会社は倒産するのですから。ここに書いてあるように、資金の返済順序というのをしっかり理解してください。
そしてこれが某銀行さんがうちに来て教えてくれた話です。「銀行の裏話」です。「これは絶対内緒ですからね」といって教えてくれたことです。これを公にしてしまったんです。
それはなぜかというと、ここにこういうふうに書いてありながら、次のページに「銀行格付け表」があります。私どもは、新しいお客さまにはこういう格付けをやる。そのときに、先ほどの「汚い字シリーズ」で書いたところを形にしたのがこれです。
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