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 日本フォーム印刷工業連合会 業務委員会主催
       平成21年度 第2回講演会 (平成21年6月25日開催)
     
「どうしたら良い会社になるか」 
       元気創造コンサル日本一 
       古田土公認会計士・税理士事務所 古田土 満 氏

 皆さま、一番最後の図「月次損益計算書」を見てください。これは、あるパンの機械をつくっているメーカーの月次決算書です。この会社は、この平成19年12月はまだ1年ちょっとしかたっていなかったのです。前の税理士さんは、ここに製造原価に労務費や経費を入れたものをつくったのですが、うちに替わった途端に、全部こういう形に切り換えました。
 そうしたら、社長と話していておもしろいことがわかったのです。下から5行目の「販売費一般管理費」を見てください。3年間ほとんど変わっていません。月々の販売費一般管理費6,175万7,000円が前々期で、前期が6,176万円で、今期が6,052万6,000円です。営業外収益も営業内収益もほとんど変わっていません。固定費でみると全然変わっていないのです。
 ところが、売上高は、前々期、左上、月々1億4,300万円で、粗利益が6,269万6,000円で、経常利益は100万円の赤字です。前期の平均をみると、今度、売上高が1億5,700万円で、月商で1,000万円増えて、粗利が月々300万円くらい増えました。固定費が変わらないから、月々の平均利益が340万円増えて、経常利益が100万円になりました。
 そして今度、今期です。月々の売上高が1億7,800万円に増えました。そして粗利益は月々7,700万円になりました。なんと1,200万円月々増えたわけです。そして固定費は変わりません。だから月々の平均で、経常利益は1,400万円。ですから、今、11ヶ月の合計で1億5,400万円の利益に変わったのです。前期は2,000万円くらいしか利益がないのに、今期は1億6,000万から7,000万円の利益になるのです。数字というのはこういうものなのです。
 ですから、粗利益率の高い事業構造は、売上高をいろいろな方法で努力して上げることによって、劇的に利益は変わるのです。
 この社長は、一昨日、帝国ホテルで60周年記念パーティをやったのですが、50周年はやらなかった。なぜかというと、10年前は業績がよくなかった。私どもが入って数字の見方を勉強してもらって、在庫処分もして、ものすごいスピードで財務体質は改善できています。でも、やがて不良資産を処分しても利益を出して税金を払わないと、財務体質はよくならないのです。
 だから、今、ものすごいスピードで財務体質改善して、堂々と60周年ができたのです。本当に業績がよくなかった。それは、社長が、我々のやっているストラック図を理解したのです。会社の中は、MQとPQの会話になってしまったのです。私たちが行くときは、幹部が10人ぐらいで参加するんです。それを徹底的に支店とかお店ごとに分析しながらみんなで会議をやっている。だから、計画発表のときも、PQをどうするとか、MQをどうするかという会議になってしまったのです。
 我々は、こういうふうに共通言語でわかりやすく表現しているのです。この数字を活用すると、皆さんわかるように、例えば1,000万円の取り引きしている会社があったとする。例えば今は自分の会社は儲かっていないと仮定します。そこにライバル会社が参入してきて、年商1,000万円やっているところにきて10%値引きをする。10%値引きをするといったら、これを受けますか、断りますかという話なのです。
 「いや、うちは今でも赤字だ。赤字なのに10%引いたらもっと赤字になってしまう」と。だからそんなの断るというケースが結構多いのです。それは間違いなのです。ライバル会社が10%下げてきたら、うちも10%下げる。
 そうするとどうなるかというと、10%減ります。ですから、幾ら減るかというと、100万円減ります。これは値引きですから。粗利益がマイナス100万円。そうすると、利益は赤字100万円になります。
 でも、断ったらどうなりますか。1,000万円を断ったら、変動費も500万円減るけれども、粗利益もいくら減るかというと、100万円ではない。500万円減ります。だから、負けてはだめだといっているのです。競争になったら負けないのです。
 では、こうなったら、やがてつぶれるでしょう。やがてつぶれます。だから、赤字でも、その間に手を打てるのです。1年の話ですから。その間に仕入れを下げる、固定費を下げる。これをお客さまにより多く買っていただく方法はないか、それとともに、これに替わるお客さまはないかということで、一生懸命営業活動をかける。
 それで、この100 万円値引きするお客さまに替わるお客さまが出てきたら、そのとき断るのです。やっぱり無理でした、と。
 そうしないと粗利がなくなってしまうのです。特に皆さまみたいな印刷業は粗利益率が高い状態ですから、常に粗利と固定費のバランスで数字を考えていかないと、会社をつぶしてしまいます。ですから、競争には負けてはいけないのです。
 逆もあります。ライバル会社に10%引いて営業をかける、本来なら500万円増えるかもしれませんが、10%引いたら粗利が400万円しか増えません。でも、プラス400万円の利益は稼げるのです。だって、固定費でそのなかで収まっているのですから。
 ライバル会社からみれば、あそこは値引きして、あんなことやったらつぶれるわといっているけれども、実はそのほうが儲かるケースだってあるのです。それが対応できなくて本当につぶれるケースもあるかもしれません。でも、基本的に商売というのは負けてはだめなのです。負けたら粗利がなくなる。
 粗利益がマイナスになったら絶対やってはいけません。もっと赤字になってしまいますから。でも、ある程度粗利益があって、その範囲で取れるならば、会社というのは、社員を抱えているかぎりは必ず固定費はかかる。ですから、固定費を賄う粗利益をどうしても稼がなければいけない。
 そうなると、やがておかしくなります。でも、その間に何か手を打ったりすることによって、利益というのは、このMQという粗利益という面積と、固定費という面積のせめぎ合いなのです。中小企業はそんなに固定費は下げられません。そうすると、基本的には粗利益を増やす以外方法はないわけです。
 粗利益を増やすためには、仕入れを下げるか、あとは売上高を上げるかです。Pの戦略なのか、Qの戦略なのか。粗利益の高い業種の戦略は基本的にはQの戦略が中心なのです。お客さまの数が増えたり、取引量が増えることによって、粗利益という面積が増えます。その粗利益の面積を増やすことが実は大事なのです。まず基本はそこです。
 もう一つあります。それはこのなかにはあらわれませんが、お金です。多くの会社がおかしくなっている。それをわかっていない方が多い。
 例えば飲食店とか美容業の方によく話すのですが、3,000万円の設備をかけて出店した店と1,000万円のお金で出店した店が、まったく売上、人件費、粗利益が同じだったらどうなるのか。
 全然違う結果になるのです。これは、この下の現実のものと利益留保が問題なのです。要するに、初期投資を少なくすると、その分だけ借金が少なくて済むでしょう。初期投資を多くすると、損益上は見えないけれども、借金が右側にある。借金を返済するために、利益計画でいうと、利益計画は売上高からつくるのではないのです。利益からつくるのです。経営計画というのは、最初に利益を決めて、固定費を上乗せして、粗利を計算して、粗利から逆算して売上を出すのが正しい利益計画です。
 その利益計画のもとになるのは何かというと、長期借入金の返済額です。長期借入金の返済は、利益で返せるという前提で返済額を決めないと資金が行き詰まります。ですから、借入金の返済のほうが大きい会社は、利益を多く出さなければいけません。借入金は利益の前倒しです。そういうつもりで借りたわけですから、途轍もない売上になってしまう。途轍もない売上だと、単価が高く客数などが多くなるから、それは無理なのです。
 そうすると、一般的には返しながらやっていくのが現実ですが、例えば新規出店のときにそうやると、無借金の会社とか1,000万円の会社と3,000 万円の会社では、損益計算書が同じでも、税引きの利益は同じでも、借金返済が違います。片方はお金が余っていくのに、片方はお金が足りなくなってくる。
 そうやって倒産していくのです。だから、古田土会計は380坪借りていて保証金を100万円しか積んでいません。それは売上に響くからです。借金すれば、返済は売上でカバーしなければいけないからです。皆さまは、これから大事なのはP/L(損益計算書)ではないのです。B/S(貸借対照表)です。
 例えば、一般に考えれば、1億円の借金を返済するのに、利益を出そうと思えば2億円かかるわけです。でも、2億円在庫を減らしたり、売掛金を減らしたり、受取手形を減らしたり、貸付金を減らす、そういうふうに努力すれば、税金を一円も払わずに1億円借金返済できる。場合によっては、手元にある現金を減らしてもいいのです。借金が多いから現預金が多いのです。借金を減らしたり支払手形をなくせば、その分だけ現預金も少なくて済むのです。
 会社は支払手形で倒産しています。支払手形をゼロにするということもイメージできるわけです。支払手形をゼロにしたらどういうふうになるのか。それも全部買掛金にいくのか。いけない。売掛金、受取手形いくら減らせるのか。いくらでも減らせる。
 では、支払手形なしだったら、現預金いくら減らしてもいいのか。それで足りなかったら、何か固定資産で処分できるものはないのか、それで足りなくて初めて利益になる。
 ですから、要するに財務体質が、未来につぶれない体質をつくるつもりだったら、それはバランスシートのなかのイメージになる。でも、それはバランスシートでは普通はうまく表現できないのです。だから私たちは資金別貸借対照表という図をつくる。
 見たことないでしょうけれども、うちはすべてのお客さまにこの資金別貸借対照表で財務体質の指導をさせてもらっている。つぶれない会社にするためにです。
 これに数字を当てはめていくと、支払手形が出るなり、早期借入金が、ゼロはなかなか難しいので、半分にするためにどうするかという未来のバランスシートがイメージできるようにしてあるのです。
 そうすると、経営者のお金の使い方が大事になってくるのです。高級車なんか買えなくなる。ゴルフ会員権なんか買えなくなる。ゴルフ会員権を買ったお金は、借金すれば返済する。それは全部売上です。売上を出して利益が出ても、半分は税金で持っていかれるのですから。
 自己資本比率を傍に上げるのは純資産を増やすのではなく、総資本を半分にすればいいのです。でも、現実にそれは難しいかもしれません。でも、4分の3にすれば、自己資本比率が30%か40%くらいになるのです。そうしたほうが自己資本比率は高くなる。だいたい見るところは、自己資本比率、売上高、総資本経常利益率です。
 だから、経営者が勉強して財務体質を理解することによって会社は変わってくる。それは売上を上げることよりも効果的です。社員ががんばって売上を上げて利益を出しても、経営者が在庫を知らなくて変なところにお金を使ったり、投資で失敗すれば、社員がいままで稼いだのを全部無駄にしてしまう。
 皆さんご存じかどうかわかりませんが、メリーチョコレートは、バレンタインデーを日本で初めて始めた会社です。あれはロッテに100 %買収されてしまいました。
 あんないい会社が、売上高、経常利益率が10%で、自己資本率が60%、無借金の会社です。なぜ買収されたかというと、会社がデリバティブ損失で100億円穴をあけてしまったのだそうです。そして銀行にお金を借りにいったら、結局、貸してくれなかった。結局は、ロッテに株を買収される羽目になった。結局は社長の失敗です。
 そのように土地で失敗したり、株で失敗したり、ゴルフ会員権で失敗しているというケースは結構あると思うのです。あれは全部社長の責任です。社員が一生懸命稼いだものを社長が食いつぶしてしまっているわけです。
 だから、財務を知らないと会社は本当におかしくなってしまうのです。その未来のバランスシートをつくるのが、この資金別貸借対照表とニュー資金別貸借対照表です。会社が1億円利益出しても、売掛金が1億円増えたら、会社の資金が苦しくなる。利益が出ても半分が税金で持っていかれて、5,000万円の資金が不足します。大きくなればなるほど資金は苦しくなって、財務体質は悪くなる。だから、会社のバランスを考えながら大きくしていかないといけない。

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