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 日本フォーム印刷工業連合会 業務委員会主催
       平成21年度 第2回講演会 (平成21年6月25日開催)
     
「どうしたら良い会社になるか」 
       元気創造コンサル日本一 
       古田土公認会計士・税理士事務所 古田土 満 氏
 まず大事なのはビジョンをつくることだと思います。できたら1行で。そうすると、社員は覚えやすいです。
 社長さんは、社員の人に元気に働いてもらわなければいけないでしょう。「会社のためにがんばれ」といったって、がんばれません。がんばるのは自分のためです。
 だから、私どもは経営計画発表会を毎年やっています。今年1月14日にやりました。 
 今120人の社員がいますが、私どもの今期の売上の目標は9億6,000万円で、今期の
経常利益は2億です。当然無借金経営です。売上高経常利益率は20%が目標。自己資本比率は87%あります。資産はできるだけ現金で持つようにしています。不動産は買いません。お金がもったいないですから。
 うちには社長室はないのです。受付の隣が私の机です。社長室をつくればお金がもったいないですね。私自身も、自宅は妻の実家に入ってしまいましたから、これもお金かかりません。車は持っていません。なぜかというと運転免許を持っていないからです。
 とにかく会社にお金をためることを考えています。380坪ほど事務所を借りていますが、保証金は100万円しか払っていません。借りるときに、一番最初に交渉したのは何かというと、家賃ではない。保証金です。お金を寝かせます。そして更新料なしというのを条件に入れました。どうせそこにいるんだから、なぜ更新料を払う必要があるんだというところからスタートしました。
 お金というのはどういうものかというと、いくら保証金を積んであっても、寝かせていれば何の役にも立ちません。会社で大事なのはキャッシュフローだと思っています。お金がなかったら会社はつぶれるのです。
 会社というのは何のために借金するのでしょう。考えてみてください。
 単純ですが、私はそういうことを一つひとつ考えて、社員に常に話しているのです。「事業とは何か」「挨拶はなぜするのか」「なぜ我々は借金するのか」。
 借金するのは「事業拡大」「設備投資」「経営するため」いろいろ理由はあります。
 でも、突き詰めていくと利益を出すためです。事業拡大するのも基本的には利益を出すためです。
では、なぜ利益を出すのかということになるのです。そして私どもがこの経営計画書のなかで常に繰り返し言っているのは、「利益とは何か」ということです。
利益の本質を常に説明しています。
 「利益とは、社員を守るためのコストであり」「事業存続のためのコストである」と書いています。一番最初に「利益を出すのは、社員を守るため」と書いてあり、社員と家族を守るために利益を出すのです。
 なぜ書いてあるかというと、読むのは社員だからです。私が利益を提示するとき、「利益とは何か」と聞いているのは、社員です。銀行員ではない。銀行員だったら、「借金を返済するために利益を出します」と説明する。聞いているのが社員だから、社員が夢と希望を持てるように、社長から、会社から大切にされているんだよということです。社長が一生懸命漕ぐのは後輪ですから。
 社長はとにかく社員には「会社は社員のものだよ。社員の幸せのためにある」と言い続けて、やり続けることが大事なのではないかなと私は思っています。
 ですから、利益は「社員と家族を守るため」なのです。そのために利益を出して、そのために蓄積するのです。蓄積しないといけないのです。先日テレビで成長しているのに蓄積していない会社が出てきました。「メガネ21」という会社。あれは例外です。
 例外は絶対法則ではないです。基本的には蓄積しないと社員を守れないのです。地震があったり、ひょっとしたら今度はパンデミックで業務停止になるかもしれません。いちばん可能性があることだと思っています。そうすると、お金がある会社が生き残るのです。
 社員に給料を払えない会社。お金のない会社はつぶれていきます。いくら不動産を持っていても、お金でしか社員に給料を払えません。だから、利益を出すために借金するんですよという話です。借入金の本質は利益の前倒しです。
 しかし、皆さん、よく銀行さんは、「借入金の返済原資は利益である」といいますが、借金を返済するのは何かというと、利益ではないのです。それもわかっていないと、会社をつぶしてしまう。借金を返済するのは、利益でもなければ減価償却費でもない。何かというと、お金です。
 お金でしか借金の返済ができないのです。「利益+減価償却費」というのは、長期的な話です。短期的にはお金でしか借金の返済ができないのです。常にお金を持っていないと、人件費も払えない。だからこそ、私どもは、月次決算書のなかで毎月キャッシュフロー計算書をつくっているのです。
 当月のキャッシュフロー計算書をつくって、会計上の利益とキャッシュフロー上の違いを毎月、社長さんと幹部の方に説明させていただいています。儲かった利益は必ず現金で戻ってくるとは限らないのです。利益とお金の流れを絶対に説明しないとお客さまには伝わらない。累計のキャッシュフロー計算書も必ずつけています。
 当月の利益があるように、当月のキャッシュフローもある。累計の利益があるように累計のキャッシュフローもあるのです。そうやってお金をしっかりためていかないと、会社は本当に維持できないのです。だいたい会社をつぶすのは社長です。社員でつぶすことはめったにない。それは財務がわからなくて、儲かっていると思って不動産を買って借金の返済ができなくなる。それでおかしくなっていくのです。
 私たちは、新しいお客さまのところにいってバランスシートを見て愕然とします。なんでこんなに借金するのか。返せるはずがないというのが、わかるわけです。でも、銀行は貸しています。ですから、銀行は全然わかっていないのです。
 あるお客さまも「いままで銀行員の言うことを聞いて、得したことは一度もない」と。心当たりあるのではないですか。本当に自分でしっかり勉強して、財務などをやっていかないといけない。
 私たちは「日本の中小企業を元気にする」というビジョンを掲げたものですから、商品は、「月次決算」と「経営計画」にしたのです。これはビジョンからスタートしている。だから、「財産運用やりましょう」「金儲けやりましょう」「不動産投資やりましょう」というのは一切やりません。たとえ情報が入っても一切やりません。
  私は社員から尊敬される社長になりたいのです。そうしないと社員がかわいそうです。社長のグチと悪口ばかり言って生活するのはかわいそうです。それよりも「社長は立派だ」とか、「こんな会社に入ってよかったね」とか、そういうふうに思って生活してもらったほうがよほどいい人生を送れるのではないかと思っています。私はそういう人生を送ろうと思っていますから、一生懸命自分なりにやっています。
 朝も私は6時40分には来ています。妻の実家に入るまでは朝6時に来ていました。夜も10時から11時までいつもいます。土曜日なんか休んだこと一度もありません。日曜日はだいたい半分つぶれます。
 今月になって休んだ日曜日は1日だけです。あとは、先週もお客様の経営計画発表会、今度の日曜日も経営計画発表会です。土曜日もお客さまの経営計画発表会です。お客さまがいっぱい経営計画書をつくっているので、発表会にいって私が一生懸命応援演説するのです。そういうのでだいたい時間を過ごしています。
 とにかく一生懸命働いています。働くことだけはできるものですから。だいたい人間の能力なんか差はない。トップが働いていれば、社員は働きます。7時前には社員が数人来ています。うちの社員は結構給与が高いです。決算賞与も結構払っていますから。それもすべて見えるようにしてあります。
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