このDVDにありましたように、「会社とは何のために存在するか」ということで、しょっちゅう教育しております。会社でいちばん大事なのは、社員と家族である。これは先月の坂本教授の考え方と同じです。社員と家族が一番だというのを経営計画書に前から書いてあります。自転車でたとえますと、自転車は前輪と後輪がありまして、後輪が社員満足、前輪がお客さま。それを運転しているのは、漕いでいるのは社長という考え方です。社長が一生懸命漕ぐのは後輪です。社員満足あってこそ、お客様満足が可能です。
|
常に社員がどうしたら元気になれるか、幸せになれるかということを考えながら一生懸命やる。それが社員のほうにいって、社員がお客さまに満足をさせる。そうすると、お客さまから「ありがとう」とか「感謝します」といわれる。それによってまた社員が元気になる。そういうことを私自身がイメージしています。
だから、漕ぐ人は社長だから、中小企業は社長次第でほとんど変わると考えています。そして私どもは何のために経営をするかというと、先ほど言いました。では、私どもは会計事務所で何ができるか。
先ほどありましたね。運送会社は、ただ荷物を運んでいるのではなくて、人の喜びをつくり出すのが運送業者なんだ、と。だから、働く意味を社員に繰り返し言っています。
私たちもビジョンを掲げまして、それで、働くのはただ申告書をつくることではないんだよ。では何のためか。「日本の中小企業を元気にするため」です。それが我々のビジョンです。1行です。1行だとすぐ覚えられます。3行か4行になると、長くて覚えきれません。
では、そのビジョンを実現するためにどういう商品やサービスが必要かということなのです。
私たちは、どちらかというと、大した人間ではないものですから、私の力で社員を引っ張れないと思ったのです。何で引っ張ろうかと思ったら、人格では無理ですから、ビジョンで引っ張ろうと思ったのです。
だから「日本の中小企業を元気にする」という、社員がこれだったら納得するというビジョンを掲げた。そのビジョンにしたがってどういう商品、サービスを提供するかというと、出てくる商品は、月次決算報告書と経営計画です。特に経営計画です。 |
中小企業を元気にするために我々会計事務所ができることは、決算書を作ることでも、税務申告することでもなくて、一番大事なのは、お客様の会社が、利益を出して、そして そこで働いている社員がより幸せになることなのです。そして つぶれないような会社にすることです。
だって、皆さまの会社には社員の方がいます。私たちの会社にもいます。社員が一番望んでいることは何でしょうか。
私が思ったのは、社員が一番望んでいることは、「この会社に勤めていて、これから 10年、20年大丈夫なんだろうか。社長はおれたちのことをどう考えてくれているのだろうか」ということです。だって、会社に入って働いてくれる人たちは、まだ20歳だったら、これから20年も30年も40年も今の会社で生活していくわけですから。
そうすると、一番大事なのは、自分が独身者だったら、これから結婚をして、子どもが生まれて、子どもが学校を卒業するまで、20歳くらいまで面倒を見れるかどうか、ということが社員の一 |
|
資料 住宅新聞 (画像をクリックして拡大) |
|
|
|
番の関心事です。そのためには会社が絶対大きくならなければいけないのです。少しずつでもいいから大きくならなければいけないのです。
どんどん小さくなっていったら、社員は不安を抱くだけです。だから、会社が少しずつ大きくなる、いい会社になるという目的は、会社で一人ひとり働いている従業員の人たちの目的に一致するのです。必ず一致するんです。会社で働いてくれる社員の人たちは、では、どうやったら会社のために貢献できるかということは、一人ひとり考えているけれども、具体的にどうやったらいいかわからないのです。
だから、どうやったら会社が成長してよくなるかということを経営者が示してあげないといけないと思うのです。私は、それが経営計画書だと思っているのです。
経営計画書のなかで、お客さまに関する方針、社員に関する方針、いろいろなクレームに関する方針、新規開拓、いろいろな方針を掲げます。そうすれば、社員が全社一丸となってどこにがんばればいいかわかります。それを示すのが社長の仕事です。方針書をつくる。それが経営計画の方針書です。
方針が明確にならなかったら、社長がただ「がんばれ」「がんばれ」と連呼しても、どう考えていいか、社員はがんばれないわけです。だから、方針書が大事なのです。だから、経営者が一生懸命勉強しながら方針書を書くわけです。これは私一人でつくります。社員と常にチェックし合いながら、12月になると、全社員からまた意見を求めて、それを書き直すのです。
どうやってこの方針書をつくるかというと、簡単です。
私のは相当練れている経営計画書ですが、私どもみたいな経営計画書を一冊手に入れるのです。そしてそれをコピーする。コピーして、やっていることと、やれそうなところを鋏みで切るんです。そして糊付けする。その後に自分の言葉に替えるのです。それで経営計画書は出来上がりです。あとは、いろいろなことをどんどん付け加えていけば良い。スタートは糊とはさみです。
私は、よく「パクる」という言葉を使います。まねするのです。まねしたことを自分のなかで文章にしながら、ちょっとだけ付け加える。私のところの「ハッピー体操」というのもある人から教わったものです。でも、ハッピー体操だけではだめだと思って、必ず相手を褒めるプラスの言葉「○○さんは、いつもこうですね」「あなたは、こういう素晴らしいところがありますね」と、ハッピー体操をやる前に一人ひとり言葉で褒めるのです。そして 必ず毎日違う人とやるようにしている。
私は、司会者の隣にいて、全員とハッピー体操をやっている。握手できるようにしている。司会者は毎日代わりますから。全員の人と必ず会話ができるわけです。挨拶のときもそうです。
皆さん、「おはようございます」というと、いつの間にか相手がいなくなっているという経験はありませんか。私はよくそういう経験をしているわけです。どうしたらちゃんと心のこもった挨拶ができるかなと思って考えたのは、手を握ることです。手を握ると、私が手を離さないかぎり相手は逃げられません。必ず目を見て、そこで「きょうも元気でやりましょう」という。
社員は「きょうは、社長、1万ボルトでやります」などという。女性だったら「あなたの瞳は100 万ボルトですよ」と返したりする。うちの朝礼は、笑い、笑いなのです。朝からものすごく明るいんです。笑い声でいっぱいです。ですから、いろいろな方が朝礼見学に来ます。朝礼を見て元気を出す。
1カ月くらい前はある銀行さんの葛西支店の支店長と課長さんが見えられまして、「うちの支店は暗い。挨拶もろくにできないから」といって、新入社員の研修でうちによこしているのです。
おもしろいところでは、よくテレビで見ます「てっぺん」さんの「居酒屋甲子園」、今週の日曜日も4チャンネルでやっていましたが、大島さんという方が社長をやっている会社ですが、あそこは2年前にうちのお客さまになってもらったのです。あそこは日本一の朝礼ですが、本部の方がうちの朝礼に参加された。「『てっぺん』さん。なんでうちの朝礼なんかに参加する必要があるんですか」といったら、「いや、お店は元気だけれども、本部はこれからです。だから本部を元気にするためだ」とか、お互いにいろいろ勉強し合っているわけです。
私が思っている会社は、とにかく明るく元気に、働いている人が楽しくなるような会社づくりをしたいと思っています。むしろそちらのほうが会社が大きくなるより大事なことかなと思います。中小企業は上場もしていないですから、社員一人ひとりが元気で、会社に来るのが楽しい、そういう会社をつくりたいと思ってやっています。 |
|