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 日本フォーム印刷工業連合会役員研修会にて
  世界不況こそ変革のチャンス
     
栄光は闇の奥深く潜む「ニッチポイントを探せ」と題して
       株式会社 一光社プロ 代表取締役 長山 伸作 氏が講演
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  きょうは、メインがSWOT分析になっています。SWOTと非常に絡みが深いのでPMマトリクスをご説明します。これは、ニッチな事業を探していくのがこれからは一番かなということでちょっと使ってみました。  
皆さんご存じだと思いますが、トヨタさんは引き際が非常に早かった。見事なくらいです。一昨年でしたか、山本勘助が出てくるNHKの大河ドラマがありましたが、「戦わずして勝つことが一番だ」という言葉は絶対的にいえると思います。今の自動車産業のトヨタさんのあの引き際は、戦わずして勝つために籠城してしまった。そんなふうに私は思うのです。

 

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  今の世界の市場は、どこにおいてもレッドオーシャン化してしまっています。レッドオーシャンというのは血で血を洗う海のことです。皆さんたちも、おそらく私どもの仕事も同じです。どんどん価格破壊されています。
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  我々はクリエイティブな作業をやっておりますから、ほとんどが労働集約型の業界の中にいます。以前はカメラマンの時間報酬は1万円を出ていた時代があります。それが今、おそらく5,000 円も稼げない。3,000 〜4,000 円くらい稼げればいいところでしょうか。デザイナーも、昔は当社の場合は平均的に6,000 円くらいの工賃で成り立っていました。カンプをつくるといって鉛筆で描いていました。そのレイアウトをつくってお金が取れた。ところが、今は、デジタル化されて、そのカンプ、レイアウトを抜きにしてすべてコンピュータ、パソコンの前でデザインから文字打ち
までやります。昔は写植、版下がありましたが、写植、版下の仕事も今はデザイナーがやります。製版業務まですべて、これでもう印刷できるよというデータまでつくって印刷会社さんや広告代理店さんに納める。昔でいえばほんの一部分、4分の1くらいの守備範囲だったのがその4倍の守備範囲をこなして、値段が変わらない。
A41枚2万円で、今でもそうです。写真データまで全部データ化してはめ込んでやるのですが、そこまで値段が崩れています。ですから、デザイナーの業務とスタッフの工賃料は3分の1になってしまっているのかなと思います。でも、まだ値段が落ちている。  
これはご存じのとおりだと思います。下請け業務はいつでもそうです。ゼネコンさんでも同じです。印刷業界でも同じです。広告代理店さんがあって、自分のところが受けた仕事の分の利益だけを確保して下に流します。ですから、広告代理店さんは印刷会社さんに、印刷会社さんは我々のところに流します。そのときの値段はすれすれのところまできていまして完璧に価格破壊されています。
 
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  レッドオーシャンというのは、そういう業界が増えて、価格破壊が起きている状態もレッドオーシャンです。皆さんのやられている印刷業界も、ほかに勝つ決め手が何かあるのかなと思うくらい、ほとんど値段で勝負ではないですか。ましてや官庁関係のお仕事など入札で取るとなると、えらいことです。入札に参加するだけばからしくなります。
実は去年から厚生労働省の関係で今、当社に入っているのが授産施設といって障害者施設の仕事です。その障害者施設の仕事を増やすためにどうすればいいかと厚生労働省がいろいろと支援の予算を出していまして、そのなか
に発注優遇とか優先発注というのがあります。官公庁は障害者施設に優先発注しなさいというのがあります。おそらく皆さんたちもご存じだと思いますが、NPO団体でも、行政から直接仕事が下りてきます。優先発注されます。ここには入札というプロセスはないですから、だいたい世間相場でこのくらいの値段でこの仕事をできるかということで落とします。これは障害者施設もそういう下り方をします。入札がないですから極めていいです。
今、授産施設のコンサルをやるのに、「授産施設はもっと大きな仕事を取りなさい。広告代理店になったらいいですよ。あなたの授産施設で優先発注で行政の仕事をとって、それを印刷会社さんに下請けで出せば成り立つでしょう。授産施設さんはそんなに収益を求めるところではないですから、1割でも3割でも間でもらって、下でやってもらえばいいのではないですか」と、最近そういう指導ばかりしています。
授産施設というのは、障害者の方だけを働かせてやりますから、障害者の人たちが効率のいい仕事ができるわけないです。知的障害の人たちもいれば、視覚障害の人も、聴覚障害の人も、身体障害で車椅子で作業している人もいるわけです。こういう人たちがいくら効率よく仕事しようと思ってもできない。だから、何も自分のところでできなければ外に出せばいいではないかということです。今、そのように指導していて、案外それが成功しています。これからは民間企業の応援を得て、民間企業と一緒に行政の仕事を取ったほうがいいですよといっています。
私たちは「コンペだから出してくれ」とよくいわれますが、コンペのプレゼンツールをつくるのに、行政の仕事でも要覧などをつくるとなると、調査の人件費で40〜50万かかってしまうのです。でも、今はそういう予算を出してくれません。昔は5社なら5社に出すときに、カンプ製作代は1社当たり20万円出しますよという時代があったのですが、今はそんなお金はくれない。私たちはやり損です。取れなかったらお金をもらえない。そんな仕事はやりたくないです。だったら仕組んでしまって、いっそのことそういう障害者施設と組んでやっていく。案外うまくいくようになっています。だから、レッドオーシャンというのは、今、皆さんたちが置かれている立場、ほとんど日本の企業は特に内需においてはレッドオーシャンです。外需においては輸出が総倒れになっていますから、この辺は極めてまずいので、いかに内需でどんな仕事を創出していくかということだと思います。
 
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  これはどこの業界でもそうですが、長い間うまくいっていると、じゃ、今の業務からどうやってマンネリの殻を打ち破るか。この殻がなかなか打ち破れないのです。マンネリの殻は堅いといいますが、本当に堅い。  
自分だけがやっているところは、もう少し自分の置き場を変えてみませんか。たとえていうと、銀行マンは2年から3年でローテーションがあります。印刷業界のなかは意外とローテーションはされていない。私のところの会社もそうですが、担当本社だと、まず代わることはないです。担当を代えるのは難しいです。

お客さまのキャラクターをよくつかまないといけない。意思疎通は非常に大事です。一つモノをつくるのでも、お客さまが要望しているもの、お客さまのニーズに合ったものをつくるというのは、担当者が決まっていると、だいたい傾向がわかってくるのでそんなに外れることはない。ところが、担当が代わると、ガラッと変わってしまいます。ニュアンスが違うと、しっかりとヒアリングシートに書いていっても、いざつくったものがまったく受けられない。何回プレゼンを出しても受けられないということがよくあります。ですから、我々の業界は意外と業務のシフトができない。これはおそらく印刷会社さんもみんな同じで、たとえていうと、この営業があそこのクライアントにいっている。おそらくそういうのはなかなか代えられないのではないかと思います。
こういうこともそうですが、思い切って変えることをしないかぎりは会社の組織は変わらないかなと思います。
そんなことが私のまわりには非常に多いです。特に結構な企業さんにおいても、すぐ経営計画を年度経営計画に落とし込んで、その年度経営計画に落とし込んだもので目標管理、PDCAをさしているか。ISOの9000シリーズの品質基準に関してはしっかりやっているのに経営計画は意外とうまくいかないということが結構多い。やっていることはPDCA、マネジメントサイクルは同じはずなのですが、経営計画に関してはなかなかできない。よく考えてみると、戦略不在であり、皆さんの考え方自体を変えることができない。これは極めて難しいことです。難しいですが、これをやらない限りおそらく将来はないのではないかと思います。

自社でSWOT分析をやられているところはありますか。
SWOT分析は、おそらく最初から社員全体でやると混乱してほとんどまとまらなかったのではないかと思います。SWOT分析というものをまず自分なりにトップや経営陣が、自分の会社はどういう会社なんだろうと自社分析を自分でやってみようと思うほうが賢いです。
まず、社長や経営陣の方たちがSWOT分析を自分でやってみて、それで自分はこういう傾向に出たけれども、では社員にやらせたらどうなるか、そこで全社的にやると、おそらくうまくいくかもしれません。
なぜSWOT分析をやるかということがありますが、SWOT分析というのは、今の自社の実力はどんなものなんだろうかということを客観的に明確にしようというときに、SWOT分析をやられると思います。自社の実力を把握する。これは個人でも同じことです。たとえば長山というのはどんな人間なんだろう、ちょっと自分を分析してみようか。では、その周りにある環境はどうなのか。組織はどうなのか。そんなときにSWOT分析をするのですが、最も簡単なSWOT分析というのは、3Cといわれます。

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