日本フォーム印刷工業連合会/「平成25年夏季講演会」講演録（平成25年8月22日開催）

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「平成25年夏季講演会」講演録（平成25年8月22日開催）
現場で見た「今」の中国 (5)
　　　　　　講師　チャン＆カンパニー代表　安藤チャンめぐみ様

続いて、私が関わったテレビ朝日で報道されたニュースについて少しお話をさせていただきます。この方は本物の日中友好の使者、山崎宏さんです。中国に住み続けた元日本人兵士の一人です。 2009年6月に私は報道ステーションのスタッフと一緒に山崎さんが住んでいた山東省に行って、彼を取材しました。その時、ちょうど山崎さんは101歳でした。
この取材は私が今までテレビ朝日で取材した中で最も感動的な取材でした。一生忘れることのできない素晴らしい思い出となっています。

山崎さんは日中戦争で中国へ赴きましたが、翌年には軍隊から脱走しました。そして、亡くなるまで日本へ帰らず、ずっと中国山東省済南市に住み続けました。山崎さんは戦後、漢方医の資格を独学で習得して、最初は病院で働いていましたが、現地で診療所を開設し、60年以上に渡って奉仕活動として現地市民に対して無料診療を行ってきました。中国人女性と結婚しましたが、自分の子供がいなかったのですが、養子として娘さんが一人います。
本当にごく普通の５階建てのアパートの３階に住んでいて、診療所は隣のアパートの１階にありました。診療所はごく簡素な一部屋です。しかし、朝から診察開始時間前に、もう患者さんが溢れていてびっくりしました。大きな病院に行かずに、こんな狭い小さな診療所に来るのは、山崎さんがいるからです。私は親たちにインタビューをしました。みんなは山崎さんに見てもらうと子供の病気がすぐ治ると言っていました。大きな病院に行っても治らなかったのが、ここに来て山崎さんが出した漢方薬を飲むとすぐ治るというのです。その中には20キロ離れたところからわざわざ来ている人もいました。一番多い病気は咳や、下痢、熱という小児科の病気です。親たちは山崎さんがとても優しくて、ここに来ると安心感があって、山崎さんのことが大好きだと話してくれました。

101歳の山崎さんは治療として鍼を使っていました。101歳で鍼治療をしている人はたぶん世界で山崎さんしかいません。私は日本人である山崎さんに病気を診てもらうことに抵抗がないのですか、と親たちに聞いてみると、答えは全部同じで山崎さんを信頼していますからと答えます。山崎さんは中国人よりも優しいので大好きですというのです。
みんなは山崎さんを日本人という枠を超えて、彼の人格を高く評価していることが分かりました。また、山崎さんが昔住んでいるところにも尋ねて行って、

年配の方々にインタビューをしました。
皆さんは山崎さんに対して感謝の言葉ばかりを述べていました。1人の80歳代の男性が昔、山崎さんのお陰で命を助けられたと言いました。山崎さんはよく薬を届けてくれて、お金を取らずに帰ったと話してくれました。「戦争のことはありますが、山崎さんは良い日本人です」と中国人に尊敬され、愛されていることがよく伝わってきました。

100歳まで元気で診察できる秘訣はなんですかと聞いたら、山崎さんは中国語で「全心全意為人民服務」と言いました。その意味は「誠心誠意人民に奉仕する」ということです。山崎さんはご自分の行動でこの言葉通りに実践し、一生を中国人の為に尽くしました。
私は山崎さんの生き方を見ると、インドで貧しい人々の救済に一生をささげたマザー・テレサを思い出します。山崎さんもマザー・テレサのような方です。

この写真は、山崎さんが住んでいる山東省済南市で"都市トップ10の人物"に選ばれたことを報じた新聞です。
中国で外国人が都市のトップ人物に選ばれたのは山崎さんだけです。山崎さんの功績が本当によく中国人に評価されていました。山崎さんは山東省だけではなく、中国全土で有名人です。なぜなら、中国の中央テレビなどマスコミは山崎さんのことを大きく報道していました。その内容も日中友好の使者としての報道が多く中国人に最も感謝されている日本人の一人です。

今回一緒に取材に行ったチームと山崎さんと一緒に記念撮影を撮りました。テレビ朝日のディレクターと２人のカメラマンと私です。
普通、外国メディアが中国取材をする時には必ず中国側からの付き人が同行します。保護するというのですが実際は監視する目的でしょう。しかし、この取材では付き人は来なかったのです。これも山崎さんの取材で、日中友好のために私たちが来たからだと思います。取材の際には、周りの中国人も非常に協力的で、熱心に質問に答えてくれました。山崎さん