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続いて、中国社会でもう一つ深刻な問題は官僚の汚職腐敗です。
中国の官僚の汚職腐敗はあまりにもひどすぎて、世界一とも言えるのではないかと思います。
数値をみてみると、過去5年間に汚職した公務員が22万人おり、海外逃走した汚職官僚は2万人もいました。持ち出された資金は1兆元(約13兆円)に達すると言われています。
私は昨年、中国の新聞でショックな記事を見ました。小学生に将来何になりたいかという質問に対して、ある男の子は、将来官僚になりたいと答えていました。なぜかと聞かれたら、色々なところでお金をもらえるし、大金持ちになれるからという答をしたそうです。官僚の汚職腐敗は悪いことではなく、憧れとしている現実を見て本当に心配でたまりません。
政府は腐敗撲滅運動をずっとやっていますが、なかなか効果はないようです。色々調べたら、共産党だから汚職腐敗をやっているわけではありません。腐敗は中国の文化だそうです。 王朝時代から腐敗がもうすでに存在していました。当時肉は高級食材であったため賄賂用に使われたところから政府の「府」の下に「肉」を書いて汚職腐敗の「腐」と読んだそうです。 |
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これから、中国のビジネス環境についてお話をさせていただきます。
私が実際中国でビジネスを展開している日本人や、中国にある日系企業で働いている日本人に直接、中国のビジネス環境について話を聞いてきましたので、現場からの声を皆様にお伝えしたいと思います。 |
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まず、私が以前、調べた貿易における日本と中国のお互いに対する依存度についてお見せしたいと思います。
このグラフは日本と中国の製造業に於ける輸出依存度を比較したものです。近年日本は26%で、中国は13%となっています。中国の輸出依存度は日本の半分です。製造業に於ける依存度は中国より日本のほうがはるかに高いことが分かります。
ですから、両国の経済発展の為には互いに歩み寄らなければならないと思います。 |
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これから、現場からの声として、ビジネスがうまくいく為の注意点、中国で成功したビジネスの事例と中国人と上手に付き合うポイントについてお話させていただきます。 |
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ビジネスがうまく行くための注意点はたくさんありますが、ここでは現地の方たちの声を聞いて、もっとも重要な3つを取り上げさせていただきます。
「出来るだけ現地化すること」、「人材を育てること」、そして「法律に対してバランス感覚を持つこと」がビジネスを上手く運ぶにはとても重要なポイントです。 |
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出来るだけ現地化することを具体的に言いますと、ビジネスの核となる部分は日本人が伝えていく必要がありますが、できるだけ中国人に責任を持たせた方が企業は成功すると思います。欧米企業と比べると、日本企業の駐在員の数は圧倒的に多く、幹部もほとんど日本人です。
しかし、欧米企業はトップを中国人にすることが多いです。私は以前、ドイツ系の薬品関連会社である、日本バイエル株式会社で働いていました。その時に、出張で中国のバイエル関連会社に行った際、中国バイエル関連会社のトップは中国人だったのです。技術責任者はドイツ人でしたので、ちょっとびっくりしました。というのも、その時、私がいた日本バイエルの社長はドイツ人でしたから。 中国でのビジネスは、なぜ、ローカル化することが大切なのかというと、中国は独特のカルチャーをもった国だからです。中国は市場経済が導入された社会主義の国なのです。
中国でのビジネスは中国人に任せた方が成功する確率が高いです。4千年の歴史と共に、毛沢東時代の影響もまだ残っているところが多いので、中国人の物事の考え方や行動思考は、日本や欧米という民主主義の国の人々とは違います。 その違いを十分認識した上で、中国のビジネス環境を理解することも、中国人とのコミュニケーションがスムーズにできるようになると思います。また、会社の幹部が中国人なら、スピーディに市場の変化に対応することができますし、現地の役所やクライアントとの人間関係を作ることにも有利です。 今回 私は日本企業で社長を務めていた日本人から失敗体験をうかがうことができました。
日本最大の上海関連サイトを運営している会社で、中国ではかなり知名度もあった会社でした。ネットでホテル予約などを請け負い、一時はかなりのユーザー数を抱えていましたが、日本の大手旅行サイトの進出と中国現地企業自身が日本語対応したことなどで、一気に利用者が減りました。敗因としては市場の変化に対して速やかな対応ができなかったこと、有能な中国人を雇用しなかったことではないかとその社長は分析していました。
また、現地化することも重要ですが、日本企業が企業ビジョン、企業方針、企業計画などを打ち出す時には、中国の文化、中国のスタッフと中国の消費者の考えを理解しなければなりません。
そして、中国人の人材を育てることです。私は8年前に中国に進出し、中国でワインの輸入販売のビジネスを展開している日本人の友人に話を聞きました。
彼の話では、事業には人、モノ、金が必要だが、日本企業が中国で一番苦労していることは人材の育成だそうです。中国のイデオロギーや教育が日本と違うので、日本と同じような育成方法では人は育ちません。日本のように会社のために自己を犠牲にして働くという概念は中国にはありません。またチームワークの概念もありません。 ですから、そういう中国社会の違いを認識した上で、日本人の仕事に対する理念、考え方、姿勢を中国人スタッフに伝え、仕事のやり方も細かく伝える必要があるのです。人材を育てることは企業の成功に欠かせません。良い人材を揃えることも大切ですが、人を採用する際には能力も重要だが、育てられるキャパシティを持っているかどうかも重要です。人は育てられて成長していくものです。私自身も仕事を通して育てていただいています。 |
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