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  「平成25年新春講演会」講演録 (平成25年1月24日開催)
「ファシリティ・マネジメントによる企業経営」
(3) 
"世界基準に遅れをとっている日本のファシリティ・マネジメント"
       講師 (株)エフエム・パートナーズ・ジャパン クレイグ・カックス氏
では、2番目に大きいファシリティ・コストはだれが見ていますか。総務部長が見ているんです。会社の中で2番目に大きい間接経費の財布を見ている人は、明確です。総務部長です。大きい会社であれば、総務部長が100万円経費削減しようと思えばできると思いますか。簡単ですよ。業者のところに「ああ、その印刷、やめておいてくれ」と、突然30万浮くんです。その注文をやめた。あのメンテナンス、今期はやめよう、来期に延ばそう、と。100万円削るのは何でもないですよ。  
100万円削るのは簡単です。でも、社長さんが、今期、利益が足りない、利益をつくりましょうと思って戦略を立てる。だれに話しますか。営業です。「では、営業部長さん、これから新規で100万円の利益をつくってください」と。今、売上に入っている予測数字をいじってもだめです。足りないのですから。あと100万円ほしいのですから、100万円つくってくださいといったら、ヨーイ、ドンをかけたら、100万円が会社に現金が入ってくるのにどのくらいかかりますか。
○受講者 最低3カ月はかかる。
○クレイグ 最低3カ月かかる。その営業は上手だと思います。3カ月で100万円をつくれる営業マン、皆さん、ほしいでしょうか。100万円つくるのは大変ですよ。純利益です。  
100万円の純利益をつくるには、10%の利益率があっても1,000万円の売上を出さなければならないんですよ。皆さん、新規で3カ月でできますか。すばらしいですね。ほしいでしょ、この方。(笑)すばらしいパートナーになると思います。  
では、今度同じ社長から同じ会社の総務部長に電話がかかってきた。「クレイグ、100万円足りないんだけれども、100万円の利益をつくるのにどれくらい時間かかるんだ」と。これは大体電話3本くらいで解決しますよ。  
普通の大きい会社だったら、3本くらいで、「来月のあそこのエスカレーターのメンテナンスは1カ月延ばしましょう」とか、「特別生産やめましょう」とか、「あそこの運営をやめましょう」とか、すぐに100万円なんて削れます。100万円を削ったら100万円の純利益が出るのです。それは、ずうっとやられたら困りますよ。メンテナンスはしないといけないのですが、一時的に今期100万円をつくるのだったら、私はいくらでもできます。何回もやってきました。
でも、皆さん、総務をそうやって見ていますか。  
総務部長が自分でそう思っていますか。自分は会社の利益に影響する仕事をしていると思っていますか。していないでしょう。管理総務だから。戦略総務ではないから。こういう発想が会社にないから。  
次に、日本の会社の大きな問題は、縦割りになっていること。これをどう解決するかが大変です。
私は今、ある大きな東京の会社と話をしています。いいところまできています。総務部といわない。管財部と話をしています。100以上の東京のビル、施設を
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全部今は事業部から外して管財部が責任をもって見るようになりました。 その横割りが日本では非常に難しいのです。グローバルだったらできてしまう。ファシリティは、不動産のこと、コピー機のこと、清掃のこと、どこの施設でも世界中で専門家がみるようになったのです。日本はそれが事業部に任されています。今 グローバルで大きい電機メーカーから呼ばれて、「どうやったら私たちは日本からアジアの情報を得られますか」と。  
普通の日本の会社で、世界で自分がどの施設でどういう賃貸契約しているかというリストを持っている会社は何社あると思いますか。自分の会社が持っている不動産物件のリストを正確に持っている日本の会社は何社あると思いますか。ゼロに等しいです。頑張れば、日産さんとソニーさんが持っているかもわからない。あとは絶対持っていない。  
なぜかというと、国別にやっています。スペインのカントリーマネージャーは、あそこで倉庫を借りたければ勝手に借りるのです。日本は全然知らない。倉庫コストは事務費に入ってくるのです。決算書を見ても、倉庫を借りたなんて全然わかるわけない。だから、不動産の賃貸契約を東京で承認しなければならないというルールを持っている会社は、日本にはない。国別に勝手にやっています。  
そうすると、まとめて入札もできなければ、管理もできなければ、事業部が同じ国に三つあれば、三つオフィスを持つことも普通ですが、一緒になりましょうというプレッシャーをかける人は日本にいない。  
それくらい日本は縦割り組織で、まだまだ横割りにできない。でも、横にやらないと、ボリューム的にコントロールできないのです。ですけれども、そうすることによって、財務は間接経費ですから、2番目に予算の大きいところを話しているのです。そこを削ると利益がそのまま反映されます。ですから、大きいのです。ファシリティ・マネージャーは、会社の利益をつくる人なのです。  
ということで、私たちプロのファシリティ・マネージャーは、会社の利益をつくることもありますが、コストを切るだけの人間ではないのです。どうせお金を使うなら会社の成功のために使うノウハウを持っているプロフェッショナルがファシリティ・マネージャーです。  
どうせ使うなら、総務コスト、ファシリティ・コストをどういうふうに使えば会社の成功につながるかということを専門プロとして持っているものが、ファシリティ・マネージャーです。会社の成功のためです。ファシリティ・マネジメントは、会社の成功のためにあるのです。
そういう意味で、ファシリティ・マネージャーはいろいろな判断をしなければいけません。清掃一つとっても、印刷物をとるにしても、会社に合った発注のしかた、プロセスを入れる。そのとき使う背景にあるものは何かと言えば経営概念です。ファシリティ・マネージャーがこの会社にとってはこれがいいという執念がないかぎり、正しい判断ができないのです。
有名な日本のファシリティ・マネージャーで小山(義朗)さんという人がいます。彼は、ソニーファシリティーマネジメントで、ソニーの中でずっと総務一つで育った人。これは日本で非常に珍しい。総務の人間は大体人事異動でいろいろ回って、最終的に落ちこぼれが総務に入ることが多いのですが、彼は逆でずっと総務で育って、いろいろなソニーの社長と顔を合わせて議論できるレベルにいきました。有名な日本のファシリティ・マネージャーです。
あるとき役員室から、「どこそこの工場を閉鎖するから、閉鎖準備にかかれ」と言われたのです。それで彼は見にいった。
これは役員会で、ここを閉めようと大体話は通ったのです。ところが彼が現地に行ったうえでの、彼の結論は、「そこを閉めるのだったら、こっちを閉めたほうがいい」といって、役員会で社長の意見と反対意見を出して、「こっちを閉めるなら、こっちを閉めたほうが、こういう理由でいいですよ」といって、最終的にそれを売り込んだのです。
永久にその社長とは仲悪くなったのですが、それは別として、会社のために正しい判断をなぜ総務部長が下せるのでしょうか。
ですから、総務のメンバーは、自分の経営概念を持たなければいけないというのが二つ目です。
次は、アラインメント(Alignment)。アラインメントというのは、どういうことか知っていますか。
「FMアラインメント」と教えていますが、アラインメントというのは、車の修理工場で、「アラインメント」という言葉を聞いたことないですか。ホイルとかタイヤのアラインメントという話があって、タイヤの話をすると、タイヤは二つプロセスがあります。黒いタイヤをホイルに乗せる。乗せてからピューと回す。それがビューと揺れるので、いろいろな重りをつけて、それを「タイヤのバランスをとる」というのです。
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タイヤのバランをとるために、ホイルにつけた黒いタイヤがバランスよくビューッと回るようにして、それを4回するのです。四つともバランスのとれたタイヤがあると、これを今度車に乗せる。前のタイヤがこうやって乗ると、車は前に進みますか。進むんですね。でも、大変なんです。動きが重たくて、一生懸命こうやって何とか前にはいきますが、タイヤは長持ちしません。すぐつぶれてしまいます。
こうならないように、アラインメントを取るのです。こちらのタイヤ、こちらのタイヤが両方同じ方向を向いていることを確認することを「アラインメントをとる」というのです。「ベクトルを合わせる」とか「方向性を合わせる」という意味です。  
総務のファシリティ・マネジメントの方向性と会社の方向性が、アラインメントが取れていないと正しいといえないのです。
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