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平成22年度夏季講演会(平成22年8月26日開催)
「映画『降りてゆく生き方』人をつなげる映画製作の軌跡」
講師 森田 貴英 氏
弁護士・映画プロデューサー
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これではお金が儲からないだろうというご心配もいただくんですが、さっきインタビューで出ておりました千葉の寺田本家という酒蔵さんがありますが、そこの寺田さんは本物の酒づくりをやろうということで、もうお金のことを考えなくてもいい、ワクワクするような、お酒ってそもそもそういうワクワクするものなんだ、体にもいいものなんだ、という原点に立ち返ったことによって、それまで日本酒のユーザーではなかった女性たちが大量に来ています。
お酒というのは発酵することでアルコールが出るんですが一緒に炭酸ガスも出るんですね。だからシャンパンとかビールというものがあるんですが、寺田さんのお酒は微発酵されているということで、こんなのは普通の日本の蔵元では絶対出しません。不良品です。ところが、そういう物語を理解したときには、そういうことに若い女性がよってきて、「この日本酒、シャンパンみたいでいいですね」と、いいほうに解釈をしていくんですね。ですから、実はそういう"降りてゆく"ビジネスをやることで非常に成功している。寺田さんのところには在庫がないです。
だから、"降りてゆく"というのは、実はすごく成功するんだということを示していますし、この木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」はもう全く手に入らないです。だから、お金を儲けようということではなく"本質で勝負した人""心で動いている人"が確実につながりをつくっていって、いいビジネスもされているんだと私は思うわけです。
そういったことで、私がこの映画の原点にしておりますのは、この『日と水と土』という本で、ここに木村さんの「奇跡のリンゴ」をつくったときのノウハウであるとか、あるいは寺田さんの「発酵と腐敗」の話が載っております。皆さんは「腐る」とおっしゃるけれど、実は発酵と腐敗は全然違うことなんですね。これは、私が映画をつくるに当たっての大きなテーマだったんですが、どうやって発酵するのか、どうやったら腐敗するのか。そういったところの秘密がここにまとめて書いてあります。これは絶版になったものを私が4月に復刊させました。そのときにまた印刷屋さんにお世話になったわけです。ここにいらっしゃるかどうかわからないんですが、中央製版印刷さんでつくりました。
この本で木村さんが言うのは、それまではリンゴを自分がつくっているつもりでいた。自分が「城主」でリンゴは「部下」だと思っていたが、ある日気づいたのは、そうじゃないんだと。リンゴが実は主役で、自分はそれを助けるだけなんだ。力をつくり出すためのお手伝いをさせていただいているんだ、というところから変わっていったと話をしています。それが自然栽培の本質なんですが、そういったことが書いてあります。 これは書店では売っていません。ぜひこれでいろいろと学んでいただくと、またどこかの機会に映画を見ていただいたときにより深く見られるのではないかと思うわけでございます。
ということで、時間もきたようでございます。この映画を上映したいという気持ちがある人とともにコラボレーションという形で上映していますので、定期的には行なわずに群馬や成城学園など、いろんなところで今もやっておりますので、少しお手元にご案内をしました。あと、神戸のチラシなんかもありますので、もしお時間がございましたら、ぜひ会場に来て映画本編を見てください。
なぜ会場で見るかというと、"会場で一つのものをみんなで見る"ということで心がパッと表に出てくる、その"場の一体感"というのが非常に素晴らしいんですね。それはDVDやテレビでは味わえないので、私たちは"スクリーンを前にみんなで一緒に見る"ということにこだわっています。そういうことを体感していただいていろいろ気づいていただけることもあるのではないかと思うわけです。
そういうわけで、このあとも懇親会があるという話でございますが、私もこの映画を通じまして、これまで目的に向かってひた走る。余分なものは切り捨てることから"ご縁を大切にするというつながりの生き方"に変化の途中にあるところなんです。後ほど皆さんとお話などさせていただけたら幸いに思っております。
それでは、長時間にわたりまして、皆さんご清聴いただきましてありがとうございました。 |
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『エキスペリエンツ7』 |
堺屋 太一著 日本経済新聞社刊 |
『変革は弱いところ、小さいところ、遠いところから』 |
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清水義晴著 小山 直著 太郎次郎社刊 |
『日と水と土』 |
河名秀郎著 朝日出版社刊 一般社団法人降りてゆく生き方刊 |
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