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 日本フォーム印刷工業連合会 業務委員会主催
       平成21年度 第3回講演会 (平成21年8月27日開催)
     
「感動を呼ぶサービスの真髄」  
       CS.ホスピタリテイ総合プロデューサー 
       株式会社HAYASHIDA-CS総研 代表取締役 林田 正光 氏
 サービス・ポリシーはいっぱいあります。最後になりますがエスコート・サービス。
お客さまから言われたら限りなく、お手洗い、レストラン、必ずご案内します。よほどなことがないかぎりはご案内します。ご案内するだけだったら幼稚園の生徒もできますが、ご案内するプロセスにお客さまとしっかり会話を交わします。フレンドリーに会話します。1回しか来たことのないお客さまが、もう1年前から来ているような錯覚に陥る。笑顔でするその会話がいいサービスです。それがお客さまには受けるような気がいたしました。そんな経験もいたしました。
 それからパーソナル・サービス。これがリッツ・カールトンのメインです。個別対応サービスです。
 ここにいらっしゃる皆さま方は、男女の違い、年齢の違い、好みの違い、性格の違い、すべて10人いらっしゃったら、十人十色です。それにワンパターンなサービスでお客さまは喜ばれますか。
 わかりやすくいったら、60歳のご主人様に接するときと、20歳の男性に接するときと、同じパターンで接して喜ばれますか。20歳の人には20歳の人に合った、60歳には60歳に合った、中年の女性には中年の女性の方に合ったサービスをする。
 お客さまが3回、4回お泊まりになってきます。会話のなかからいろいろ盗みます。ああ、この方は東京方面から来ていらっしゃる。その辺のことは名刺交換すればいいことです。だけど、気質とか性格、好み、趣味、行動パターンは、会話のなかから、フロントマン、ドアマン、レストランサービスなどがどんどんメモしていきます。そしてコンピューターに入力されます。
 そうすると、「ああ、この方はどこからの方」「ああ、この方はあまり構ってあげたら、『もうプライベートのことは放っておいてくれ』とよく言われるから、そっとしておいてあげよう」「この方にはちょっと会話をして構ってあげないと、どうもサービスが悪いといって、アンケートがすぐ悪くなる」、そんなことまで書いてある。
 「この方には、大阪のブルーノートが好きだから、すぐ客室にブルーノートのプログラム一覧表を置いてあげて、きょうは何やっている、何曜日は何をやっている、そういうことがわかるようにしてあげる」「この方は、巨人ファンだから、阪神に勝ったら『きのうは阪神に勝ちました。おめでとうございます。報知新聞、読売新聞、日経新聞を、お部屋の方に入れさせていただきますので』と、きめ細やかな対応をする」。
 レストランにいったら、「ああ、麻生様は、いつものように、先にサントリーのモルツでよろしいんですか」、そしてサントリーのモルツを持っていったら、「そのあと赤ワインを用意しておきます。ちょっと冷めに。特にフランスワインを用意しておきますが、いつものとおりでよろしいでしょうか」「お肉は100グラム用意しておきますが、いつものとおりミディアムレアでよろしいでしょうか」。そうやって先手先手でいくと、サービスというのは、俗な言葉でいえば、「ええカッコ」をいかにさせるかです。徹底的にそうやっていく。そうしましたら、大方の方は、ちょっとくらい高くても仕方がないわと思っていただけます。「ええカッコさせる」なんていうのはここだけの話ですよ。今は離れていますから言っていますが、口が避けても言いませんよ(笑)。
 パーソナル・サービスというのは、「冷蔵庫を開けたら、あの方はいつもコーラしか飲んでいらっしゃらない。コーラを2本くらい飲んでいらっしゃる。そうしたら、コーラを正面の一番とりやすいところに置いてあげよう」「いつも目覚まし時計は、右側に置いてあるけれども、いつも左に置いて帰っていらっしゃる。そうしたら、左に置いておいてあげよう」。
 「いつも温度は、お部屋のほうは25℃にさせていただいています。いつも帰りは22℃にしていらっしゃる」。それが2、3回続けば、フロントで、「麻生様、暑がりでいらっしゃるんですねえ。いつも私ども25℃にしておりますが、22℃でお帰りになっていらっしゃいますので、きょうは22℃に用意させていただいておりますが、よろしいでしょうか」。そうやってきめ細やかなことをやる。
 そして、こんな「リレーション・サービス」がありました。
 ある日、会社の幹部の方がお泊まりになったのです。どうしても明日8時に会議がある。準備があるのでホテルを7時過ぎにはでなければ間に合わない。そんなことで、不安ながら目覚まし時計はかけられたけれども、もしも鳴らなかったらという、もしものことがあるからということで、オペレーターに「明日、6時に起こしてくれないか」とお願いしました。そうしたらオペレーターは、当然6時に「かしこまりました。ご安心してお休みくださいませ」と申し上げるでしょう。
 翌朝の6時に鳴らします。ベルが鳴った。「麻生様、6時でございます。お目覚めでいらっしゃいますか」。そうしましたら、当然目が覚めるでしょう。「麻生様、もしもよろしければ、再度お休みいただくといけませんので、10分後に再度お電話を鳴らしてもよろしいでしょうか」。そこは気くばりをしてくれる。そして その10分後にドアのベルが鳴ります。ルームサービスの担当が「麻生様、お目覚めでいらっしゃいますか。お目覚めのモーニングコーヒーをご用意させていただきましたので、どうぞあたたかいうちにお召し上がりくださいませ」とワゴンで持ってこられたらどうでしょうか。
 そして「麻生様、タクシーのほうは何時にご用意させていただいたらよろしいでしょうか」「じゃ、7時15分にお願いします」。7時5分ごろにはドアマンが来て、荷物をもってタクシーまで運ぶ。
 そうやってみんなでリレーになっています。そこまでされたらどうでしょうか。すべてにはいきませんが、そういうリレーション・サービスをすることが、お客さまに感動を与えていくのです。
 皆さま方の職場でも「情報の共有化」で終わってしまっている。だから、抽象的です。情報の共有化をしなければいけないよといっても、では具体的にどうしたらいいのか。だから私たちは具体的に何事も例を話します。

 すばらしいまた感動サービスが生まれました。これもリレーション・サービスです。メイドのすばらしいサービス。これは大阪でのもちろん実際の話しです。
 ある日、中年の女性の方が2泊お泊まりになりました。1泊が終わり、そのお客さまは、何かのご用事で外出なさった。その間にメイドが入って、客室の清掃をし、メイクベッドをして、そしてまたきれいな客室にする。
 その清掃の途中に、枕元に封を切った一服の風邪薬をメイドは発見したのです。なかは空っぽです。普通でしたら何も考えないでごみ箱にポイと捨てる。それが普通ではないでしょうか。そのメイドは、やはり教育されています。ああ、このお客さまは、もしかしたらお風邪を召していらっしゃるのではないか、そう気づいたのです。
 当たり前です。そしてそのあとに彼女は、ベッドの上にもう一枚の毛布を用意してさしあげたのです。ベッドの横には加湿器まで用意してあげたのです。
 そして1枚のメッセージを残しました。「お客さま、誠に勝手かと思いましたが、枕元で封を切った風邪薬を拝見させていただきました。もしもお風邪を召していらっしゃるといけないと思いまして、毛布と加湿器はご用意させていただきましたが、また何かお気づきの点がありましたら、私、メイド○○と申します。なんなりとご一報くださいませ。メイド○○」。そうやって1枚のメッセージを残して、彼女は自分のデスクに帰っていったのです。
 そうしたら、しばらくしまして、そのお客さまがお帰りになって、そのメッセージをご覧になった。後ほどいただいた感謝の手紙のなかに、「何とこのメイドさんはきめ細やかなところまでお気づきになるのだろう。いい教育を受けていらっしゃるのだろうな」と、そんな印象が書いてありました。そしてそのメイドは、自分のデスクに帰ってフロントに一本の電話を入れたのです。
 「フロントさん、何号室の田中様というお客さまがどうもお風邪を召していらっしゃるようにお見受けしました。毛布と加湿器はご用意させていただきましたが、なにとぞ明朝チェックアウトなさるとき、皆さまであたたかいお見送りをくれぐれもよろしくお願いいたします」。
 メイドはまさに主婦です。パートの社員です。健気な声で一生懸命そうやってフロントに電話を一本を入れてくれたのです。そして また電話を取ってこんどはベルのキャプテンに電話を入れたのです。
 「ベルキャプテン、何号室の田中様というお客さまがどうもお風邪を召していらっしゃるようにお見受けしました。それなりの対応をさせていただきました。しかし、お部屋を拝見しますと、荷物が少々多いようにお見受けしました。明朝チェックアウトなさる前に、ぜひスタッフのどなたかお手伝いお願いできませんでしょうか」。
 彼女は一生懸命そうやって2本の電話を入れてくれたらしいのです。そうしたら、そのベルのキャプテンは、そのメイドの熱心さにほだされ、また真摯に受け止めて、翌朝いちばんにそのお客さまに電話を一本入れてくれているのです。
 「田中様、お目覚めでいらっしゃいますか。昨夜はゆっくりお休みいただいたのでしょうか。メイドが心配しておりましたが、お風邪のほうは大丈夫でいらっしゃいますか。荷物も少々多いようにお聞きしておりますので、チェックアウトなさる前にはぜひご一報くださいませ。喜んでお手伝いさせていただきます」。
 その一本が済んだあとにしばらくしまして、そのお客さまから、「お言葉に甘えてお手伝いお願いできませんでしょうか」。ベルのスタッフは飛んでいきました。ドアをたたき、そして「田中様、おはようございます。お手伝いにまいりました。メイドのほうが、田中様をすっかり心配していましたが、お風邪は大丈夫でいらっしゃいますか」。そのねぎらいの言葉にうっすらと涙をうかべられて、自ら荷物を片づけ始められたらしいのです。
 ようやく荷物が片づけられて、ベルのスタッフともどもに下りてこられたとき、普通でしたら、カウンターでチェックアウトします。私たちは大切なときは、1人より2人、2人より3人、そしてカウンターから出て、2歩も3歩も前に出てお客さまをお迎えをする。その日は3名のスタッフで、隣のベルのキャプテンからも耳打ちして、メッセージメモも見て、その中年のお客さまにごあいさつをしてくれた。
 「田中様、メイドがすっかり心配していましたが、お風邪は大丈夫でいらっしゃいますか。何かお手伝いすることございませんでしたでしょうか。お気づきな点がございませんでしたでしょうか」。ねぎらい言葉をみんながかけてくれた。
 もうそのお客さまは、たまらなく、カウンターの隅で座り込まれて、涙いっぱいにして、もう動きができない状態になった。
 ようやく落ち着かれて、チェックアウトなさって、そしてベルのスタッフが駅までご案内いたしました。そうしたら、なんと、その改札口から涙いっぱいして、そのベルのスタッフが見えなくなるまでお見送りいただいた。「あのときのあのお客さまの涙を浮かべた顔は今でも忘れられません」、そんな印象をスタッフはあとで語ってくれたのです。
 涙して事務所に帰ってきました。
 そして それから2日後にそのお客さまからあたたかい感謝のお手紙をいただきました。
「私もたくさんのホテルに泊まりました。多くの旅館にも泊まりましたが、ここまでのきめ細やかなおもてなしをいただいたことは一度もありませんでした。すばらしい感動サービスをありがとう。メイドさんにくれぐれもよろしくお伝えください。すばらしい教育をなさっていらっしゃるんですね」と、2枚の便箋に綴られたその手紙を直に私たちは社員食堂に貼らせていただきました。
 そうしたら、社員がみんな涙しながら読んでいる姿をいっぱい見かけました。幹部で相談して「この手紙は神話にしよう。多くのリッツ・カールトン・マンたちに、この心を伝えよう」。英文にしまして、世界中のリッツ・カールトン・ホテルに配信されたのです。そうしたら、またなんとその多くのホテルから激励の手紙、激励のメールが60数通も届きました。そのなかから代表的なものを日本語にして、また社員食堂に貼らせていただいたのです。
 そういうふうにして、お互いが本当に心を分かち合う。そして感動を分かち合う。そんな状況を肌で体験させていただきました。
 なぜそこまで一人のパートの社員ができるのか。私たちには、先ほど言ったように、自分の判断でそういうことができるように、エンパワーメントを提供してあります。そしてリレーション・サービス、お互いの部署が協力し合って一人のお客さまを感動に導いていく。
 パートの人たちには、「ホテルは学びの場であり、社会人大学ですよ。ホテルで働かれるパートの時間だけではなく、大いにおもてなしの心を、そしてマナーをしっかり学んでいってください」。みんなそうやって学びの場としてホテルを活用してもらう。ですから、パートの人たちも継続してお勤めいただいています。ずっと続いてくださいます。いっぱいそういう人たちを見てきました。

 そして私たちには、その頑張ってくれるスタッフ、いいサービスを提供する模範社員たちの表彰制度があります。ファイブスター制度です。それが3カ月毎に開かれました。3カ月に1回、5人がファイブスター社員として選ばれます。そして選ぶ手段として、32のセクションがありまして、32のセクションから一人ずつノミネートされます。
 そして ある日、宴会場にスタッフ約400名近くが集まりました。そして表彰されます。32名のなかにそのメイドもノミネートされているではないですか。
 模範社員5名をゼネラルマネジャーが選ぶのです。最初、1人を呼び出しました。そして表彰し、花束を贈呈して、リッツのファイブスターバッチをつけて握手して抱擁してくれるのです。
 2人目が呼び出されました。そして3人目も呼び出されました。4人目が呼び出され、そうしたら、なんと5人目にはそのメイドが呼ばれたではないですか。そのときのみんなの拍手は異様なばかりでした。みんな涙を流して彼女をたたえました。そしてある人が立って拍手したのです。またある人が立ちました。またある人も立ちました。そうしたら、あっという間にその400名近い社員全員が立って彼女にエールを送ったのです。
 あのとき私は正面に座っていて、もう涙、涙です。今もその情景が浮かびます。この本当にあのすばらしい感動の場面は、それからもうありませんでした。そのゼネラルマネジャーも最後まで彼女を抱きしめて離さなかったのです。拍手の嵐でした。
 そうやって一人のすばらしいメイド、パートの社員が、多くの社員にいい影響を与えました。これこそが私たちのいう最高のリレーション・サービスを提供しているということです。

 きょうは、一つのホテルを通じて、サービスがいかに重要であるか、そのサービスをつくるためには従業員満足度がいかに重要であるか、そして「CS」を高めるためには、やはりきめ細やかなご指導をしていくためには、一枚のクレドカード、こういうものがあって価値観をみんなが共有していく、そしてゼネラルマネジャーが扇の要になってトレーナーたちを育て、他のホテルとの紙一重の差が出るような状況になれば良いと思います。
 そして感動サービス。最初お話ししましたビーチのなかに、お客さまが言葉にされない願望やニーズを先読みをする。言われてからやるのではなく、言われる前に気づく。そしてお客さまに満足していただく。人間力が必要ですよ、ファンをつくりましょう、ロイヤル・カスタマーに育てあげましょう、そしてあなたのファンをつくっていこう、社外セールスマンをつくって、そして大いにお客さまからの紹介をいただこう、そんな話をいっぱいさせていただきました。
 改めて、釈迦に説法だったかもしれませんが、もう一度原点に帰ってお客さまをこよなく大切にするその職場風土をどうやってつくっていくか。職場風土ができれば自然な形でみんながそういうような状況になってくる。その姿を肌で7年間体験させていただきました。
 その体験を、今、タラサ志摩ホテル&リゾート、そして 野球ではあの西武ライオンズの職員の皆さま方にも指導しているんです。クレドもこのあいだ出来上がりました。クレド完成記念のCS推進大会を華々しく開催いたしました。今、このクレドカードを30数社つくりあげました。約半年くらいかけて議論しながら、プロジェクトをつくります。そのなかには常に女性を3割入れて下さい。女性の感性が今は必要ではないでしょうか。女性のきめ細やかさを最大限に活用していくのです。
 そういうふうにしてクレド経営の指導をいろいろな企業にさせていただいております。きょうは、一つのホテルの話でしたが、少し聞きにくいところもあったかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。きょうは本当に貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。心から御礼申し上げます。
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