日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー
デジタル印刷が拓く新たなビジネス
 「クライアントの視点に立った
             ワンストップデジタルサービスの時代」

 
講師 杉 田 晴 紀 氏
その1
富士ゼロックス株式会社
プロダクションサービス事業本部
 
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  品川駅前にありますECSセンターの富士ゼロックス(株)プロダクションサービス事業本部カラーセンター杉田と申します。
  私の話は、最初に話がありましたビジネスフローに近い話かもしれません。実際、カラーセンター、あるいはエピセンターで、メーカーの立場として、印刷業のお客様、あるいはクライアントのお客様といろいろなビジネスモデルの実践をしております。そのへんのモデルから、デジタルはここまできたというお話をさせていただきたいと思います。
 

<拡大するPODマーケット>
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 PODのマーケットはどれくらい広がっているのか。弊社でいうと、1256GA、5065といったプルーフ・カンプ用途のデジタルカラー商品があります。これはオフィス系から進化しているカラーのプリンタですが、たとえば、製作会社でしたら、緊急のものを出力センターに出さないで内制化するとか、だんだんPOD用途で使われ始めています。 (エントリーPOD市場の拡大)  一方、本格的カラーPOD市場としては、弊社では2000年、CDT60から始まり、60Vを経てDC7000/8000と進化し、「ようやく印刷業界で使えるエントリーマシン」という印刷業界でのお客様評価だと思っています。その評価をもとに、同じ品質で低価格モデルDC5000を投入した次第です。
 一方 iGen3は、これは本当にフラッグシップマシンであり、ご存知のように
三井住友VISAカードの請求書 約900万枚を、20数台でカバーしています。日本のデジタル化の立ち上げのスピードはまだまだ低空飛行かも知れませんが、今後は、ヘビーデューティーPODとエントリーPODに二極化すると思っています。そこをトータルにサポートしていくという考え方を弊社は持っています。

 

<PC8000お客様設置状況からのキーメッセージ>
  先ほどの60、60VからDC8000に代替されたお客様が、何を認めていただいたかというのは明確で、71%が画質、43%が見当精度、レジ精度です。用紙汎用性というのは、薄紙対応ができるようになってきたということです。おもしろいのは、新規のところで特定アプリが4%とある。これは何かというと、画質がよくなったので、写真、いわゆるデジタルアルバムで使ってみようというお客様が出てきています。それが去年からの大きな傾向です。
  アプリケーションも、CDT60のときは、名刺、パワーポイントのプレゼンテーション資料が中心でしたガ、8000になりまして、本当のねらい目のカタログ、パンフ、DM、チラシ、アルバムというところになりました。うれしかった事例としては、教科書をやっておられるところで、教師用の白本が文部科学省の認可を通りました。美術だけは従来のオフセット印刷ですがそれ以外は、生物であれ、歴史の本であれ、「この品質でいいよ」という話をいただいております。
 
<One-stop デジタル支援>
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 カラーセンターをベースにお客様といろいろなコラボレーションを行っているのですが、たとえば「ジャストインタイム」、あるいは「One to One バリアブル」「Web」と、どちらかというとプロダクトアウト型ではなく、顧客の視点でクライアントのマーケティング課題、マーケティングプロセスそのものに対してデジタルが提案できるようになってまいりました。 それが本日のポイントです。
  アイサス(AISAS)というのは先ほど出ていましたが、ちょっと古典的にアイドマ(AIDMA)のプロセスです。気づいて(Attention)興味を持って(Interest)、欲しい(Desire)と思う。メモリー(Memory)というのは要は、カタログでもなんでもいいですが、繰り返し見たり、いろいろなことを想像したり、検
討したりする行為です。そこから最後に購買行動(Action)になって、満足(satisfaction)を得る、そしてまたリピートに戻るという普遍的なサイクルです。そういうマーケティングのサイクルそのものを、デジタルプリンティング手法がワンストップで支援できるようになりつつあります。
 まず「新エリアマーケティング」です。先ほどタウンメール、タウンプラスが出たと思いますが、地図情報システム(GIS)と組み合わせることにより、お客様データベースを使わないで「新たなお客様を発見」する手法が可能となります。
 「新エリアマーケティング」を活用し集客することにより、今度は、本当にフェイス・ツー・フェイスになる。では、その人の気を引いたり、購買意欲を上げたりというところはどうかというと、「感性」のマーケティング領域でイメージバリアブルという面白い商材が出てきています。 最後は「フロント営業支援」ですが、いわゆるマーケティングツールとしてのWeb to Print 。現場でほしいときにカスタマイズしたカタログやチラシを作り、活用する環境ができつつあります。  
  印刷業界では、最近、「One-Stop」あるいは「プリントマネジメントカンパニー」とっていますが、デジタル印刷もOne-Stopデジタルサービス時代になってきています。ここまで概念的な話しかしていませんが、実際「御社のお客様はどこに課題をお持ちか知っていますか」という問い掛けを今日はしてみたいと思います。

<折込広告を補完する新エリアマーケティング>
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 我々は「新エリアマーケティング」と呼んでいますが、郵政公社のタウンメール、タウンプラスを使うやり方は、小ロットになりますから非常にデジタルに向いています。新聞の講読率は1年間に1%落ちています。ここ10年間連続ですから10%は落ちていて、50%前後です。年に1%新聞講読率が落ちる市場に対して、果して折込チラシはどこまで効きますかということです。新聞を取らなくなっている世代は、大学生、若いサラリーマン。インターネットや携帯で見ますから、新聞はいりません。折込広告に墓石の宣伝を入れたら、まだは効果ありますが、それが若い人向けの美容院のチラシだったらもう効きません。 クライアントの方は実はリーチを失っているという現実があります。  また、折り込みの反応率は0.01%ですが、それに対して、新エリアマーケテ
ィングの 反応率は、おもしろいように1%です。たまに4%、3%とか出ていますが、たぶん1%で間違いない。クライアントは、非常にリスクが高い10%、20%を目指す1:1マーケティングと、まったく効果が見えなくなっているが、辞めたら競合がやられて怖いなという0.01%折込の中間に1%の媒体ができた、という評価です。
 
<新・エリアマーケティングプロセス>
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  メカニズムは簡単です。GISのソフトは、国勢調査を使っていますから、当然 性別、年齢、持家かどうか、オプションのソフトで年収までわかります。クロス集計もできます。ですから、データベースを持たなくても、自分の担当するエリア、たとえば売りたい商品が30代の女性とかと言ってもらえれば、「わかりました。やってみましょう」と、一端のマーケッター気取りで私でも30分でエリア分析できてしまうのです。

<信用金庫におけるエリアマーケティング事例>
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 これは実際の名古屋の信用金庫さん事例で、退職される方、団塊世代をねらった富裕層マーケティングの展開です。今、金融業界も垣根がないですから証券もあり保険も営業しているので、信金さんは売る商品が預金だけではなく、様々な営業をしています。
  支店の徒歩15分圏の支店で、一番富裕層がいるらしいエリアをGISで抽出して、懸賞金付の定期預金案内をタウンメールで行っています。
 
<実践事例:スーパー銭湯の分析>
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 スーパー銭湯というのは、普通の銭湯と健康ランドの中間にあるカテゴリーキラー銭湯だそうです。ここはエリアマーケティングの典型です。
  これは「極楽湯」さんの事例です。実はお客様番号の最初の2桁がたしか地域をあらわしています。これを持ってスーパー銭湯にいきましたら、どこから何人来場したか全部分析できてしまうのです。この事例では数%出ました。たぶん全国展開されると思います。我々が一緒にパートナーでやらせてもらったのは東京の印刷会社さんで、プリンタもかなりフル稼動しているような状態です。

<(補)新エリアマーケティング展開状況>
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 「シー・アール・エム」というのは会社名です。
  創業4年で、十何名しかいない非常に小さい会社です。GISを導入して半年ですが、社長自ら分析レポートをやっているそうです。クライアントにいって、「いま言った話、どこが課題ですか」「わかりました。やってみましょうか」と、パッと帰ってしまう。半日後くらいに、「できますよ」といきなり分析結果を見せる。「何ですか、これ」「いや、実は、、、」と落としていくわけです。毎月コンスタントにそういうやり方で4-5件の新規JOBの受注をとっておられます。『販促会議』の5月号にこの事例は掲載しております。
 
<エリア密着型の市場が広がります>
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 業種別に見ても、ありとあらゆるところをやっています。競争が激しいのは、美容室、ドラッグストアなど本当にいろいろです。アルバイト広告を折り込みで10万枚出して数人しか来なかった。タウンメールまいたら90名が応募して来た。しかも、シニア世代が50%以上。そういう使い方もあります。
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