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Thinking & Innovation Company
能登印刷株式会社
所在地:石川県金沢市武蔵町7番10号
代表者:代表取締役社長 能登健太朗
従業員数:176名(2020年6月現在)
能登印刷株式会社のホームページを開くと、いきなり「EC運営まるごと代行サービスmiicha.」というスライダーが画面いっぱいに現れる。商品の製造・販売を行う企業が個別にネット販売を行う場合、始めるまでの手続きや商品の登録・販売後の事務処理など作業は思ったより煩雑で、販売開始からネットショップの維持にかかるコストも小さくない。能登印刷EC事業部が手掛けるこの「miicha」というEC運営代行サービスは、出品希望企業を募り一括して代行業務を行い、商品の販売金額に合わせた収益をあげていくという新たなビジネスモデルを提示。出品先のECモールは、合算して国内ネット販売市場の約80%を占めるamazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3モールというから驚きだ。「miicha」は初年度の初期登録費用を払えば、年間36,000円から始められる。後は商品が売れた時の販売手数料を支払えばいい。「miicha」は既に10年以上の実績があり、地元の企業を中心にこれまでに250社以上が利用しているという。
能登印刷は、オウンドメディア事業として、Webユーザー月間67,000人以上、Facebookフォロワー17,800人を抱える地域コミュニティポータルサイト「いいじ金沢」を運営している。能登印刷は、戦略的な地域経済活性化事業に取り組んでいる。このコミュニティポータルサイトに集まってくる情報を有機的に活用し、金沢市内にある商店街の魅力を、商店街の店主という「人」を主役に紹介する商店街オリジナルマガジンを制作するビジネスを展開。しかもマガジンだけにとどまらず、PR、Web・動画制作、買い物用エコバッグ、うちわといった商店街オリジナルグッズなど商店街の活性化の企画を次々に提案。同時に、ポイントカード、チラシ、ポスターなどの印刷物を発注した店舗や企業などの情報は無料で「いいじ金沢」に掲載し、集客PRを行う。自社運営のオウンドメディアを活用し、印刷物を「作って終わり」ではなく、顧客のセールスプロモーションのニーズまでも満足させるという戦略的な仕掛けが見てとれる。
また、オウンドメディアによる地域支援の取り組みとしては、隔月刊の子育て支援情報誌「はっぴーママ」は、これまでに82号の発行実績がある。更に、地域就職情報誌「Be Connect with」は、石川県内の優良企業30社について仕事の内容はもちろん、その企業のミッション、企業文化、社風といった「無形価値」を訴求し、連動するWEBによって動画やQRコードを駆使して理解度を高め、地域企業の人材確保に寄与し、地域経済の活性化に貢献している。
代表取締役の能登健太朗は、「自社の強みを、モノづくりとともにメディアコンテンツ産業として、お客様の課題解決のための、『思いを繋ぐ』コトづくりに進化させていきたい」と述べているが、これらの取り組みは、正にそれを実践したものだと言えるだろう。今後も能登印刷の事業展開から目が離せない。
連載 「じゃぱにうむレビュー」 第17回
全国の印刷会社が取り組む地方創生、地域活性化に関わる事業の事例をトピックスとしてご紹介します。 第17回目は、北海道帯広市に本社を置く東洋株式会社の取り組みを紹介します。