グリーン印刷サービスの提供 - 印刷産業の環境対応早わかりNo.8
「グリーン基準」を策定して環境貢献しています
循環型社会の実現に向け、リサイクル品や環境負荷の小さい製品、サービスなど、いわゆるグリーン製品を意識的に購入することを促す目的で制定された法律が「グリーン購入法」です。これによって、社会全体でグリーン購入の動きが活発になっていったのですが、印刷産業としても環境配慮への姿勢と方向性を示すべく、業界が提供するオフセット印刷、シール印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、さらには光沢加工の各種サービスについて、自主的な「グリーン基準」を指針として策定しています。企業レベルで環境に配慮した事業活動を積極的に推進すると同時に、印刷産業の社会的責任で環境負荷をより一層低減することが可能になりました。
この基準は、現在の印刷関連技術の動向や印刷業界が課題としている環境問題などを踏まえて、①印刷業界がめざすべき方向性、印刷会社として望ましい姿に向けた努力目標、②印刷会社の環境問題に対する前向きの姿勢を社会に示すもの——の2点を前提に策定されています。グリーン購入法の特定調達物質、エコマーク商品認定基準、グリーン購入ガイドライン(グリーン購入ネットワーク)との整合性をもたせているため、印刷産業の「グリーン基準」を満たした印刷物は、そのまま発注サイドからみた調達基準をクリアしていることになります。
印刷会社は事業を通じて資材の購入、各工程での製造、環境関連法規の遵守などをおこなっていますが、これらに関して①事業活動をおこなう際のグリーン原則、②グリーン原則に基づく具体的なグリーン基準——を定めているのです。グリーン基準はまた①環境に配慮した印刷会社として達成すべき基準、②これよりさらに高度な基準——という2つの水準を設けているのが特徴です。
「グリーン基準」は、大きく分けて①環境汚染物質の削減(原材料選定、排出防止対策)、②省資源・省エネルギー(CO2削減貢献)、③物質循環(リサイクル活動)④取り組みの継続性・改善性(管理体制、仕組みの構築)——という4つの観点から具体的な内容が設定されています。そのうえで、環境負荷の小さい原材料の調達に始まり、製造工程における改善、リサイクルを意図した廃棄処理まで、各段階を見通した製品のライフサイクルを視野に入れ、それぞれの段階で考慮しなければいけない項目を列挙しています。
代表的なオフセット印刷サービスの「グリーン基準」の場合、例えば再生循環資源を利用した紙、VOCの発生を抑制しPRTR指定の化学物質を使用していないインキを採用するとともに、DTPやCTPによる省資源化、VOC抑制が可能なプリプレス作業、省エネ化を実現し騒音・振動を抑制する印刷機械の運転、リサイクルに寄与できる表面加工、製本加工など、数多くの項目が網羅されています。また、印刷会社は事業を通じて環境関連法規の遵守、環境負荷低減の目標設定と改善活動、環境マネジメントシステムの構築、グリーン製品の提供、環境情報の提供などが求められているのです。
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