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日本印刷産業連合会
一般社団法人 日本印刷産業連合会
設立:昭和60年(1985年)6月3日
会員:印刷産業関連10団体
所在地:〒104‐0041 東京都中央区新富1‐16‐18
電話:03‐3553‐6051 FAX:03‐3553‐6079
http://www.jfpi.or.jp
≪沿革・組織≫
1・業界連合体の組織化に向けて
昭和50年代後半(1980年代前半)、情報の高度化、サービス化、国際化、業際化、電子化等が急速に進展、わが国の産業構造に大きな変革をもたらそうとしていた。特にコンピュータによる技術革新のスピードは目覚ましいものであった。印刷産業界においても、プリプレス工程が大幅に省力化・合理化され、オフセット化が急速に進展するなど、その変革のさまは文字どおり日進月歩の感があった。また「ニューメディア」が台頭し、注目を集めたのもこのころである。日本電信電話公社のINS構想、を中心にした、それまでにない高速・大容量の通信技術が出現したのである。光ファイバー伝送試験の成功、ファクシミリ電子郵便の開通、第三・通信ネットワークサービスの開始、実用通信衛星「さくら2号-a打ち上げなど画期的な技術が続々と開発・実用化された。なかでも文字情報サービスの「キャプテンシステム」は、当時印刷媒体の代替に成りうるという見方もあり、これらの新技術を印刷産業界は不安と脅威をもって受け止めていた。
さらに企業個々の問題として、OA化に伴う内製化への対処、技術革新に対応できる人材の確保・育成、事務処理の効率化、納期の短縮、コストの低減、需要の掘り起こし、企画力の創出、新技術への対処等、さまざまな課題に直面していた。
このように大手・中小を問わず、新たな対応に迫られていたのであるが、あまりに課題が多くそれぞれの企業単位では限界があった。印刷産業全体を統括し、強力な発言力・実行力を持つ連合体の結成が必要視され始めたのである。
当時、すでに印刷関連業界内において、業種や地域ごとにさまざまな団体が設立されていた。その中でも、日本印刷工業会(日印工)は、比較的大手企業が中心の印刷工業会、中小企業団体の全日本印刷工業組合連合会(全印工連)、日本フォーム印刷協議会の3団体で構成され、業界団体の中心的役割を果たしていた。しかし、法律に規定された団体は全日本印刷工業組合連合会のみで、日本印刷工業会自体も任意団体であった。当然、行政当局に対する発言力は他業界に比べても弱く、社会的認知度も低く業界指導の面でも限界があった。こうした中、昭和59年(1984年)4月27日に開催された印刷工業会理事会の席上、新村重晴理事が印刷工業会の法人化を緊急提案、討議の結果その具体化が図られることとなった。
同年5月14日、印刷工業会は通商産業省生活産業局紙業課を訪れ、同工業会を法人格団体に改組したい旨を伝えた。だが、榎元宏明紙業課長は「印刷工業会単独での法人化は難しい。日印工も含む印刷産業全体を包括した新しい団体をつくり、法人化するというのであれば、通産省も協力することにやぶさかではない」と回答してきた。
通産省が新連合団体構想、を示唆した背景には、全印工連が策定した「中小印刷業の中期ビジョン」における「大手企業との連携や業界全体の組織結成への戚Jが念頭にあり、来るべき高度情報化社会を見据え、印刷産業を情報産業の一翼を担う存在として位置づけるという行政としての将来展望があったものと推測された。
そこで印刷工業会では、全日本印刷工業組合連合会、日本フォーム印刷協議会にはたらきかけ、全国組織の統合という構想、の実現に動き出すこととなった。5月31日、早くも通産省は紙業課の高原一郎総括班長が「公益法人の設立要件」を提示してきた。設立要件は、事業目的および事業内容、組織、財政の3項目ごとにそれぞれ留意事項を示し、公益法人の設立はそれら留意事項の「すべての要件を満たしていなければならない」という厳しいものであった。しかし、その一方で、これから法人化を進める印刷工業会の関係者にとっては、要件を満たすための困難さはともかく、具体化に向けた大きな指針となったのである。
2・社団法人日本印刷産業連合会の設立
日本印刷工業会所属の3団体は、法人化に向けた実行委員会を組織するため他の印刷関連諸国体にはたらきかけるとともに、新法人の「法人の事業目的・内容」を作成し、昭和59年(1984年)7月13日、“たたき台"として通産省紙業課に提出した。これを基本路線として、通産省の指導のもとに具体的な組織固めをスタートした。59年8月1日、「社団法人設立準備会」を結成、9月7日には実務機関である「作業部会」が初会合を開き、組織発足に要するさまざまな検討事項に取り組んだ。会員となることを想定した業界団体の数も多く、その規模も形態も多種多様であった。法人格をもつ団体のほか、工業組合、協同組合、任意団体と組織形態は異なり、その構成企業の業種、事業規模もまちまちで、あった。団体に対する理念や認識の度合も違い、さらには利害得失もからみ、一つにまとめあげる作業は困難を極めた。そんな中、作業部会は精力的に活動を続け、10月下旬には事業目的(案)をまとめ、11月初めには通産省より「試案」が提出された。作業部会はこれをもとに検討を重ね、設立趣意書の作成に取りかかった。こうして新団体の骨組みが固まった。12月に入ると懸案事項であった事業規模、会費についても作業部会の素案がまとまり、参加勧誘団体の候補を選定、翌60年1月には印刷工業会会議室において説明会を開催した。席上、設立条件として、①事業規模は最低5,000万円、②スタッフは7~8名、③正会員は原則として団体加入、④理事会の規模は30名前後、⑤理事数は会費口数に比例、⑥会費の目安は1口200万円、⑦入会金は1団体100万円(初年度のみ)を示し、3月に申請し、4月には認可される予定で準備を進めていることを説明した。ところが入会金と会費の額について各団体の代表から異論が続出し、総予算額の縮小、入会金の扱い、会費の滅額等議論は紛糾した。以降、各団体の意向をなんとか調整するまでには、これまでの作業部会の運営に倍する日時を費やし、最終的に1口200万円を150万円に引き下げることでようやく決着、了承された。
結局、10団体が正会員となることを申し入れ、関連業界の機械メーカー・紙パルプメーカー等は賛助会員として加わることとなった。
60年5月17日、社団法人日本印刷産業連合会の設立発起人会が印刷工業会会議室で開催された。続く5月23日、設立発起人ならびに会員として参加する10団体の役員、合わせて50余名の出席のもと、設立総会が東京・一ツ橋の知水会館で聞かれた。中村修(常務理事候補)の司会で開会し、新村重晴が設立発起人を代表して、「経済社会の変化とニューメディアなどの技術革新に対応し、業界の発展を期するためには、業界各団体が結集し、印刷産業を代表する法人格の団体を設立することが急務である
と設立意義を述べ、「通産省紙業課と緊密な逸絡、その指導援助のもとに鋭意準備作業を進めてきた」と経過報告を行った。続いて議案の審議に入り、定款、事業計画および収支予算、会費規程、役員の選任その他を満場一致で可決・承認し、初代会長に北島義俊が就任した
同月29日には、設立許可申請書を東京通商産業局商工課へ提出、6月3日付で村田敬次郎通商産業大臣から設立代表者・樋口善典に「公益法人設立許可書」が交付された。こうして「社団法人日本印刷産業連合会
(略称、:日印産連)が正式に発足した。事業活動の推進・実施機関として常設6委員会、4特別委員会を設置し、併せて事務局を置いた。なお「日本印刷工業会」はバトンを日印産連に引き継ぎ、解散した。
印刷産業界の大同団結を実現し、事業運営の活動基盤を整備した日印産連は、60年6月6日、事務所聞きを行った。6月24日には第1回理事会を開催し、本格的活動のスタートを切った。
■≪日印産連の事業概要≫
日本印刷産業連合会は、印刷産業が当面する課題への対応や中・長期課題に取り組むため、各委員会を中心に経営環境の整備ならびに企業体質の強化に資する「基盤整備事業」、印刷産業の高度化・情報化・標準化を推進する「調査研究事業」、個人情報保護・環境保全活動の進展を図るための「審査・認定事業」を行うとともに、印刷産業の果たす役割を広く社会にアピールする「広報・宣伝活動」を行っている。(1)基盤整備事業
印刷産業界の当面する課題および中・長期的な課題の解決に取り組み、印刷企業の経営環境整備と体質強化を推進する。
(2)調査研究事業
印刷産業に関わる今日的諸課題(高度化・情報化・標準化等)の中から、最も時宜にあったテーマを選定し調査研究を実施し、その成果を発表する
(3)審査・認定事業
日印産連として、2つの審査・認定事業を実施。ひとつは日印産連のグリーン基準の各項目の達成度を客観的に判断し印刷関連工場・事業所の認定を行う「グリーンプリンティング認定制度」であり、いまひとつは会員団体各企業のプライバシーマーク取得の緊急性に答えるべく「Pマーク指定機関」としての認可の取得と同審査業務の立上げである。
(4)広報・宣伝活動
印刷産業が果たしている社会的役割を広く一般にアピールすると共に、業界内および関連産業間とのコミュニケーション促進を推進する。
■≪常設委員会活動≫
上記事業の円滑な遂行を図るため下記の7つの常設委員会を設け活動を実施。また必要に応じ特別委員会・調査研究委員会および分科会を設け、事業を推進する。
・総務委員会…日印産連における基本政策立案および行政並びに各常設委員会活動の連携及び調整を図る委員会 ・経営労働委員会…経営環境の整備、労務関連対応、公正な商取引の周知徹底および知的財産権・個人情報保護法等に対応に関する委員会 ・市場調査委員会…印刷産業に関する諸データの収集分析および需要予測に関する委員会 ・広報委員会…印刷産業関連情報の普及および啓発に関する委員会 ・技術委員会…印刷産業の情報化並びに高度化技術の調査、研究並びに人材育成推進に関する委員会 ・環境委員会…印刷産業における環境保全並びに安全衛生向上の推進に関する委員会
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