顔料の粉末を
ビヒクルと混合したとき,顔料と空気との界面が顔料とビヒクルとの界面に置き換わること。これを顔料がビヒクルでぬれたとか湿潤したという。インキや塗料の製造で,顔料をビヒクルと混和した際に顔料の表面がビヒクルでぬれ,個々の顔料粒子に分かれてビヒクル中に均一に
分散するよう,顔料粒子がビヒクルにぬれやすいことが必要である。顔料のぬれやすさは顔料とビヒクルの性質によって異なる。水にぬれやすい性質を
親水性,反対に水にぬれにくい性質を
疎水性といい,油類にぬれやすい性質を
親油性という。ぬれやすさを測るには種々の方法があるが,一般にぬれにくい顔料はビヒクルと混合したときに沈降容積が大きく,ぬれやすい顔料は沈降容積が小さいことから,沈降容積によってぬれやすさの程度を表すこともできる。顔料のぬれやすさはインキや塗料の流動性,色,つや,堅牢(ろう)度などに大きな影響を与える。表面処理や表面活性剤の使用によって顔料表面の性質を変え,ぬれを改善することができる。