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   「フォーム業界から見たdrupa2008」 リポート
 1.「drupa 2008 概要報告」
  株式会社イセトー   土井 重寛 氏
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イセトーの土井と申します。私が担当しますところは「drupa の概要」という事になります。すでに各メーカーのdrupa の報告会が繰り返し行われておりますので、そこでかなり細かなお話が出てきているかと思います。従いまして、私の方は全体をさらっと流すという感じで、あとの分野別のパネラーのご報告に移っていきたいと考えておりますのでご了解をお願いいたします。
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<drupa とは>
drupa は、Druck und Papierと言う印刷と紙に関する総合の印刷展示会という事で、現在4年に1度開かれております。  1951年に第1回が同じデュッセルドルフで開催されまして、そのときは10ヵ国、527 社という規模で開催されたと聞いております。  
現在、世界的に有名な国際展示会が四つあります。イギリスのバーミンガムで開かれるIPEX、アメリカのシカゴで開かれる Chicago Print Show 、東京で開かれるIGAS、そしてdrupaです。この四つを称して世界4大印刷展といわれていま
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すが、 drupa というのは、その中でずば抜けて規模が大きいという状況です。特に技術開発、新商品の発表を行う場としての影響力は、この四つの展示会の中では一番大きいと位置づけられていると思います。  
今回のdrupa 2008年は、5月29日〜6月11日まで15日間、開催されております。会場は全19会場。前回よりも2会場増えて面積で17万u。この17万uというのは、たとえば東京のビッグサイトでIGASが2年前に開催されました。このときの規模が展示面積で8万u、出展社が550 社、見に来られた方が13万人という事ですので、それと比較しますと、遥かに規模が大きい事がお判りいただけると思います(drupa 2008の来場者は39万1,000 人、出展社1,800 社)。  
このdrupa と言うのは、単なる展示会ではありませんで、トレードフェアを兼ねています。既にdrupa の事務局から速報が出ておりますが、今回のdrupa で成約した金額は、およそ1兆6,000 億円と言われています。大変、規模の大きなトレードが行われているという風にも言えると思います。  
それから、これも発表されている事ですが、来場者の内容が随分と変わってきております。前回2004年と今回の2008年を比較いたしますと、出展社の数、来場者の数はそう大きな変化はございませんが、中国、タイ、インドといった所の来場者が激増しております(中国2004年/200 人→2008年/2,300 人,タイ200 →2,000 ,インド5,000 →13,000)。対しまして、日本、アメリカといったところはあまり変化していない。これは出展社の方でも言えることで、中国、インドあたりの出展が大変目立った展示会であったと云う事も言える訳です。  
このdrupa には毎回いろいろな特徴付けが行われております。これはお聞きになっているところだと思いますが、1995年のdrupa は「CTPdrupa 」と言われました。5年後の2000年に「 Digeital drupa 」という言葉が出て来て、色々なプリンタも出てきました。前回2004年は、ワークフローを中心にした「JDFdrupa 」と言われております。そして今回2008年は、事前に「digital drupa 」なのか、「inkjet drupa」なのか、いろいろな話が飛び交いましたが、結果的にはどうも「inkjet drupa」という事になってきたのではないかと考えております。
<展示概要>
展示概要を順番に申し上げていきます。 「上流工程から」という表現が既に今の時代と合わないのかも知れませんが、こういう流れが判り易いかと思います。  
まず上流工程。「編集」や「DTP」「メール」という言い方があると思いますが、現在は「ワークフロー」という言葉で括られてくるのではないかと云う印象があります。  
この分野は、目にみえて何か機械が動いているという所ではありません。ですから見逃してしまう事が多いのですが、大変重要な分野であります。特に今回のdrupa では
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「Web to Print 」という言葉が大変良く使われました。この言葉に代表されるように、ワークフローというものが大変重要視された展示会ではないか。デジタルプリントと商業印刷を含めて、ワンソース・マルチアウトプットという考え方がごく普通になってきたと受け止めております。
そして、CTPです。「当たり前。新技術は見当たらない」と書いてしまいましたが、刷版メーカーの方にこの言葉を付けると大変怒られるのかも知れませんが、我々ビジネスフォームの世界からみると当たり前の技術であって、ドキッとするようなものは無かったのではないか。かろうじて Agfa Azura TS サーモフェーズがコントラストの向上をさせて検版性を良くしたという様なものとか、商業用オフセット印刷の大サイズ化に伴って刷版も大サイズ化が進んだという様なところが目立ったくらいで、あまり我が業界に対してのインパクトは無かったのではないかと感じております。
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そして印刷という部分では大きく二つに分けました。一つはデジタルプリントという分野、もう一つはコンベンショナルな印刷機の分野に分けました。  
当然ポイントはデジタルプリントになりますが、ご承知のとおり、実にたくさんの機種、メーカー、あるいはソリューションが出品されました。まさにインクジェット技術が大拡張した展示会ではなかったか。しかもその内容が枚葉オフセットと競合するほどの印字品位、これを主張するような展示が大変多かった。あるいは試作中も含めまして、色々な印字技術の紹介が行われました。 ただ、その事が直ちに我々の業界にどうい
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う影響を与えるのか。この印字品位と試作的にいろいろ紹介されたエンジン、このあたりの評価は見方が色々あると思います。これは後ほど、又、それぞれのパネラーの方から補足をしていただこうと思います。 代表的なものだけ並べましたが、コダック、オセ、アグファ、IPS、フジフィルム。これ以外にhpなど、たくさんありました。  
もう一つ、デジタルプリントの分野では、伝統的に電子写真技術というものがあります。では、この電子写真技術で新しいものが出たのかと云う事になる訳ですが、ざっと見た感じでは画期的な電子写真技術は無かったのではないかと考えております。単色・フルカラー、共に、従来からある技術の品質を更に上げる、或いは生産性を向上させると言う内容での展示が中心だったのではないかと思います。  
ただ、電子写真技術というのは、「成熟」という言葉を当てはめて良いのかどうか議論はありますが、一応「成熟期」だろうと見られます。従って、そこで使われている技術自体は非常に安定しておりますし、使われ方も大変しっかりしている。根強い技術であるという事で、「インクジェット、インクジェット」と云う事でそちらの方に目が行きがちですが、やはり電子写真技術というものも侮れない。決して忘れてはいけない技術ではないかと感じております。
それからもう一方は、従来からあるコンベショナルな印刷機という事ですが、これは2004年のdrupa でも同じ傾向がありました。殆んどBFの専用機というものは出ておりません。ざっと見渡したかぎりでは、BF専用機という事を売りにしていた展示は、イーデルマンという会社一つだけだったのではないかと思います。  
従来からこの分野で有名なミューラ・マルティニ、あるいはドレント・ゲーベル。もちろん印刷機を出展しておりますが、内容はあくまでも小型の商業用オフセット印刷機、商印狙いという構成になっておりまして、BFは出来ないのかと聞きます
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と、「要望があればそういう機器もつけられますよ」という事で、機械を生産し、売る側の意識としては、あまりBFの方には向いていないという印象がありました。  
ただ、ミューラ・マルティニ、或いはドレント・ゲーベルが搭載しておりました技術(版胴スリーブ交換・高効率UV・速度のUP・インラインの加工・CIP―3への対応・印刷品質の管理技術等)は、直ちに我々の現在のBFの印刷機にも適用できるものがたくさんありました。この内容については後ほどパネラーの方からお話があろうかと思います。やはりこう云った事を無視する事は出来ないと考えております。  
国内のBF印刷機メーカーが新しい印刷機の開発をするという事に関して言いますと、やや消極的になってきていると考えております。そう言った点から考えますと、ちょっと残念な気もいたします。海外のメーカーは色々な技術を一生懸命検討していたと云う印象があります。
それから加工の部分です。これは実はBFの部分で一番大事であり、かつ競争できる分野だと思います。あるいは“稼げる”と言ってもいいと思いますが、残念ながら、従来型のBFのコレータと云える様な設備は殆んど見ることは出来ませんでした。  
唯一、我々が知っているロールコレータというような機械構造をした展示は、ヤコブ(Jakob) と言うメーカーくらいしか無かったかと思います。しかもこれは約款のような物を作る専用の設備という内容になっておりまして、なかなか汎用的なコレータ、仕上げ設備というのは出展されていない状況だったと思
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います。 先ほどデジタルプリントという事を申し上げたのですが、このデジタルプリントをした後にどういう加工をするのかという事が、色々なアイデアの競い場所になっております。
封入封緘の効率をどういう風に上げるのか。あるいは従来型の封入封緘ではなく、まったく新しい技術を提供するという意味でのメールリングの技術、あるいはブッキングの技術というものが色々なメーカーから出ていたと感じています。 フンケラー(Hunkeler)或いはメガスピリア(MegaSpirea)と言う様なメーカーがそういったものをたくさん出しておりました。これ以外にも色々なメーカーがそういう種類のものを出していたと思います。ただ一見致しますと、BF的なコレータという印象はまったくありません。
それと補足的なことですが、従来BFの加工設備を扱っていた著明なメーカー、ツァイサー(Zeisser) 、ショーバー(Schober) 、ビエロマティック(bielomatic)、メルツァー(MELZER)と言った様なメーカーは何を出していたのかと言う事ですが、押しなべてRFIDです。
RFIDの加工設備は国内でも色々なものがありますが、今回、これらのメーカーが揃って主張しておりましたのは、値段を安くするために基材を紙に持っていく。紙のRFID加工をやるんだ、それを如何に効率よく安価に仕上げるか、と言う様な事で色々な技術の提案をされていたように思います。  
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ですから、こういったメーカーの所に行きましても、BF的な加工機は無かったと言う状態です。
それと、drupa と言うのは、何もBFだけの展示会では無くて、元々、一般商業印刷の分野がメインの展示会である訳ですが、この商業印刷の世界がどういうふうに動いていくのかという事は、我々BFの生産を行う技術部門の人間は注目しておかなければいけないところだと思っております。  
今回の商業印刷からどんなインパクトを受けるのかという事ですが、一つは、サイズが大きい。これは他のいろいろなdrupa の報告会で必ず出てくるところですが、枚葉の印刷機でXL判とか、そう言うようなサイズの枚葉印刷機が出てきたという事で、同じ印刷機でやれば効率を上げるということに走
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っているのかという印象があります。  
もう一つは、小型の印刷機で、省力化、或いはロスを如何に減らすかという競争が行われていました。代表的なのはハイデルブルクのアニカラーだと思います。大変短い時間で、しかもスキルレス、経験を要さないオペレーターが簡単にどんどんやってしまう。そういった意味で採用されていたフレキソの技術は大変面白く感じました。  
あるいは、印刷品質の検査をいかに合理化するのかということで、例えばケーニッヒバウアーが出していたようなインラインでの印刷品質検査。印刷しながら機械の中で自動的に印刷品質をコントロールしてしまう。外にいちいち刷り出し物を持ち出して検査をして機械にフィードバックするというようなことはもうしないという事をやっています。大変効率のいい仕事が出来るのではないか。  
或いは版胴を倍胴数、持ちまして、例えば4色でフルカラーの印刷をしている最中に残り四つの版胴を外に引きずり出して次の作業の準備をしてしまう。仕事が終わったらすぐ入れると言う様なことも展示は行われていたと思います。或いはダイレクトというような事も行っていました。  
押しなべて、大サイズ化と比較的小型の機械での省力化という事に走っているかなという感じがいたします。  
もう一つは、これは日本とはちょっと違うかもしれません。水無し平版を使うという事が大変多く出ておりました。BFの世界で水無し平版を使うというケースはあまり無い と思うのですが、これからは考えなければいけない部分もあるのかなと感じております。  
注目されたのは、東京機械で新聞の輪転機(オフセットの輪転機)にインクジェットを結んでしまう。我々の業界でいうハイブリット印刷です。これを300 m/分で何のトラブルもなく繰り返しデモを行っていたという事で、このあたりBFと商業印刷の境界が徐々に崩れていく一つの典型例かなと感じております。
それから製本、仕上げですが、一般商業印刷の世界で環境問題が大きい要素になっておりました。従来のEVAを使ったホットメルト製本が殆んどありませんでした。押しなべてPUR(ポリウレタンリアクティブ)というホットメルト剤を使った製本に移行している。我々の業界でもホットメルトはよく使うと思うのですが、このあたりもちょっと考えていかないといけないのかなと考えております。  
それから製本は、設備とデジタルプリンタを接続してしまう。そういった展示も幾つか出ていたと思います。  
駆け足ですが、以上がビジネスフォームの世界から見たdrupa 2008のざっとした印象と感じております。ここから各分野別のパネラーの方による報告とさせていただきたいと思います。有難うございました。
   
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