日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー
マーケティング2.0時代のダイレクトメール

講師 横 田 智 治氏
その2
株式会社 アイ・エム・プレス 
営業企画チーフディクター
 
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3 コミュニケーション・メディアにおけるDMの位置付け
 さて、やっと本日のテーマに近づいてまいりました。コミュニケーション・メディアにおけるDMの位置付けについてです。
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 まず、マーケティング上で用いられるコミュニケーション・メディアにどのようなものがあるかというと、代表的なものとしては、TV、ラジオ、新聞、雑誌といった、いわゆるマス媒体、Webサイト、eメールなどインターネット、折り込みチラシ、それから本日のテーマであるダイレクトメールなどがあります。ポスターなどもありますね。それから電話とかFAXなどもありますが、これは顧客側から企業側への連絡に使われるケースが多く、企業側からの発信に使われることが少ないので割愛しました。
 ちなみに最近では、例えばTVCMで、「続きはWebで」とか「詳しくは今日の朝刊で」とか、または街頭のポスターにQRコードを入れて、ケータイサイ
トに誘導するとか、単一メディアのみでコミュニケーションを図るのではなく、複数のメディアを組み合わせて、相乗効果を狙う試みが盛んですね。このような試みをするためには各メディアの特性を押さえておく必要があるかと思います。
 
 そこで、メディアごとの特性を整理した表を作成してみました。
周知性というのは広く知らしめる力の度合いです。これについてはやはりTVの力は絶大ですね。視聴率1%で100万人と言いますから。それから、最近若い人は読まなくなったと言われていますが、世界でも珍しい宅配制度に支えられた新聞のパワーもまだまだ大きいと思います。ちなみに『読売新聞』朝刊の発行部数は1,000万部を超え、世界最大発行部数ということでギネスブックにも載っているそうです。
  次に保存性ですが、これは伝達した情報が保存される度合いです。録画、録音というケースはありますが、TV、ラジオといった電波媒体は基本的
 
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  に弱いですね。Webサイトは基本的に保存するというものではないので除外しました。eメールは一見高そうですが、クリック一回で消去されてしまうので、保存性は低いものとしています。  説明性は製品やサービスについて説明する力です。Webサイトは文字、画像、映像、音声を駆使して、なおかつ何度でも繰りかえし見てもらえるので、非常に高いと思います。映像、音声が使えるという点からTV、それからコストを度外視すればカラーの画像が使えて、比較的大きいスペースを使える雑誌や折り込みチラシ、ダイレクトメールがこれに次ぐでしょう。
  情報収容性は、コスト当たりの情報の絶対量と思ってください。ここでもやはりWebサイトは非常に有力ですね。ただし、どうしても待ちの媒体ですから、Webサイトに誘導する手段を講じなければいけないという点が弱点です。  双方向性は、いうまでもなくeメールが高いですね。返信ボタンをクリックすれば返信できますから。Webサイトも問い合わせフォームなどを用意していることが多いので、比較的高いと思います。
  対象選択性は、情報を伝達する相手を選べるという性格です。マス媒体は基本的にダメですね。ただし、ラジオや雑誌は番組や媒体ごとに比較的ターゲットが絞り込まれていますので、TVや新聞よりは若干高いと思います。Webサイトもパスワード設定したクローズドなサイトもありますが、基本的にはないですね。eメール、それからダイレクトメールは特定多数に送るものですので◎にしました。
  最後に可変性は情報を伝達する相手によって、その内容を変更できる度合いです。eメールでは比較的容易に実行できますね。ダイレクトメールでも技術の進歩によって実現性が増してきています。ここでは×にしていますが、最近ではWebサイトも見る側の行動パターン、例えば検索ワードとかクリックする順番などによって、表示する内容を変えることができるようです。ただ、まだコストがかなり高いようですが。
 
 
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 本日のテーマのダイレクトメールについてまとめてみますと、こういうことです。「セグメントされた対象に的確に情報を伝達できて、保存性が高くて、伝達できる情報量はWebサイトに次いで多い。ただし、単独では双方向性がない。」このようなことを十分に理解して、他のメディアと組み合わせて利用すれば、高い効果を見込めるのではないかと思います。

 
 
 さて、今、eメールというメディアについても見てきましたが、一般にeメールの普及でダイレクトメールは減少したのではないかという見方があります。実際、2000年前後にはだいぶ減少したようですが、最近ではむしろ増加傾向にあります。この表は、広告代理店の電通が毎年発表している「日本の広告費」という統計から作ったものですが、この2年では微増傾向です。規模的には「雑誌広告」や「インターネット広告」に近い規模です。そして、これはDMに費やされている郵便料金ということなので、民間の宅配便会社のメール便なども増えていることを考えると、もっと拡大しているとも考えられます。
 
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 それからこちらは、私どもアイ・エム・プレスが毎年実施している「顧客の維持に関する調査」の結果です。優良顧客に対する情報提供メディアについての問いに対する回答なのですが、2006年、全体では約67%の企業がDMを利用していて、前年より4.4ポイント利用率が増加しています。業種別でみると、各サンプル数が少ないので精度は若干疑問ですが、店舗小売業でやや減少している以外、すべての業種で利用率が上がっています。
  このようなことを考えると、今、DMは確実にその価値を見直されつつあると言えるかと思います。
 
     
  4 よいDM、悪いDM
 やっと本日のメインに辿り着きました。DMの具体的活用例と悪いDMの例についてです。
 
 
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 まず、活用例その1です。発送元は都市型複合商業施設、具体的にはお台場のパレットタウンなんですが、施設近隣限定の優待カード配布・追加発送のご案内を目的に発送したDMですね。対象は施設近隣エリアの全世帯・事業所になります。優待カードを配布して、それから1人1枚もってもらうために、世帯であれば家族人数分、事業所であれば従業員の人数分の発行をしますので、追加発送を申し込んでくださいというものです。この事例で注目されるのは、一般の世帯に対してはポスティング、事業所に関しては地域ネットワークの名簿へのDMで行っていたものを、郵政公社の「タウンプラス」というサービスの利用に変更していることです。
 
 
 「タウンプラス」をご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。2ページ後で説明していますが、あて名の記載を省略した冊子小包郵便物を、一定のエリア(丁目単位)内のすべての世帯・事業所等に配達する郵政公社のサービスです。料金はサイズ、対象エリア、通数により@18円〜60円。1枚もの(34cm×25cm以内)を対象とした「タウンメール」というサービスもあります。別に郵政公社のPRをしたいわけではないので、一応、ヤマト運輸の関連会社であるヤマトダイアログ&メディアという会社が「エリアダイアログサービス」が類似のサービスを行っていることもお伝えしておきますが、ただ、このような新しいサービスを利用することで、まず、セキュリティが厳しいマン
 
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  ションなどポスティング不能な世帯、地域ネットワーク不参加事業所など、これまで優待カードを届けられなかった対象にも優待カードを届けることができて、対象事業所の中で、従業者数分の追加発送を希望する事業所が1%を超えて、1万通のDMで優待カードの発行数が2万枚になったということです。目的を達成するために、常に最適な手段を模索することが重要だということの例と言えるでしょうか。ちなみに、この例についてはお配りした『アイ・エム・プレス』の見本誌にケーススタディが載っておりますので、後でご一読ください。  
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