PIA Vision 21 会議報告

 

 20001026日〜27日にシカゴのヒルトンホテルで開催されたPIA(米国印刷工業会)のPIA Vision 21 The printing industry redefining for the 21st Century −の“Key Messages

 

1.印刷を巡るマクロ環境

 @米国経済、人口の動向

2.印刷産業の事業環境

 @ワークフロー管理の将来

 A印刷機械の技術革新の動向

 Bインターネットへの取り組み:動向、実行、将来

 C産業構造と利益

3.印刷市場の展望

 @一般商業印刷・クイックプリンティング

  • 製品の需要の変化よりも産業構造の変化が今後36年間一般的な商業印刷会社に大きな試練を迫っている。特に、極端に小さいか極端に収益性が悪く新しい技術が導入しにくいところには厳しい。

  • 印刷チェーン運営会社やフランチャイズは従来型の印刷マーケットに参入するだろう。そして、印刷ビジネスをレストランや日用品のビジネスのようにチェーン/フランチャイズモデルへと変えていくだろう。

  • 経済成長は、チェーン印刷業と一部の(すべてではなく)従来型の家族経営の印刷業の両方を支えていくことになるだろう。

  • 生き残るために、印刷会社はマーケットの隙間を見いだし、専門領域の特化する必要がある。

  • インターネットは、すべての印刷会社が探求すべき、試練と機会の両方を与える。

 Aダイレクトマーケティング印刷

  • ダイレクトマーケティング印刷はブローシャ、チラシなど、ターゲットとなる大衆に直接配布される広告が含まれる。2つのキー領域、ダイレクトメールと新聞折り込みは、配布する自動車によって区分される。

  • 今後数年間は、米国経済が健全な速度で成長を続けるが、90年代後半よりも減速する。2000年から2003年までのダイレクトメール需要は年率4.5%で拡大すると予想される(経済全体の成長率を上回る)。

  • ダイレクトメールは他の媒体に比べ、ターゲッティングの利用やパーソナライゼーションなどにより、その優位性を保つ。これらを活用することにより、ダイレクトメールの可能性を消費者が購買したり、インターネットサイトへと誘導することへ広げることが可能である。

  • ダイレクトメール産業は今後数年間はインターネットや他の技術のスタートアップ企業として恩恵を被ることになる。

  • 2003年までにダイレクトメール産業はダイレクトeメールやインターネットテレビなど、電子メディアとの明らかな競争に直面し始めるだろう。そして、成長は2006年に向けて鈍化するだろう。

  • 印刷会社はターゲットを絞ったフルフィルメントサービスを顧客に提供することによって、スキルと知識を高めていく必要がある。これらの高付加価値サービスは利益率を高める可能性がある。

  • カスタマイズされたトナーベースのダイレクトメールは、リトグラフのレベルまで単価を下げる必要はないだろう。効果的にカスタマイズすることが高い単価を支えるからである。

  • 恐らく最も重要なことは、デジタルイメージが印刷の付属物ではなく、ダイレクトメール印刷はデジタルイメージマネジメントの一環であるということである。

  • 新聞折込はダイレクトメールと同様の機能を果たしているが、新聞を配送システムとして用いているのが特徴である。この分野は今後35年間は、ダイレクトメールと同様の技術面、マーケット面での課題に直面することになる。

  • 新聞折込は広告主に対してダーゲティング、パーソナル化、カスタム化の機会を提供し、新聞社から主導権を奪うことで利益をあげるべきである。

  • ダイレクトメールと新聞折込の印刷会社は、このレポートに注目すべきである。そして顧客の可変印刷のニーズがどの程度なのかを見極める必要がある。

  • 「印刷会社のインターネットへの取り組み」の章を読んで、もしインターネットに取り組んでいなければ、どのように取り組むべきかを見極めるべきである。

 Bカタログ・ディレクトリー懐中電灯

 C雑誌・定期刊行物

  • 米国経済の継続的な成長は、広告費を増加させる。

  • インターネットは広告媒体として雑誌とどんどん競合するようになる。

  • アメリカの富の増大は、豪華な広告を制作するプラスの要因となる。しかし、この分野の成長は90年代後半に比べて鈍化するものと見られる。

  • 財務的な説明責任に対して関心が高まるにつれ、いわゆるドットコム企業は広告支出を予定よりも削減するだろう。このことは、インターネット企業が金のかかるTV広告から印刷広告へと転換することになるので、印刷産業にとってはチャンスである。

  • 郵送料の高騰と、それに対抗する大規模印刷会社の試みによって、小規模の印刷会社が全国的な雑誌ビジネスに参入する障壁は高くなった。

  • 全国的出版社のビジネスに対抗しようとする印刷会社は、その能力に加えて地域別印刷に取り組まなければならない。そのときの資源は、社内資源のほかに、同じ指向を持った地域の印刷会社と協力して行うことが考えられる。

  • 出版社や取次業者が返品率をコントロールできれば、1号当たりの印刷量は削減できると考えられる。

  • より短い納期に特化している印刷会社、たとえばデジタル技術でより広いカスタマイズを提供できる企業、郵送のフルフィルメントサービスを提供できる企業はニッチマーケット対象の雑誌に対するサービスで優位性を持つことができる。

  • ソフトウェアの印刷が増えるため、小規模な出版社でも紙面のカラー化を図らなければならず、ショートラン4色印刷の需要は増加すると期待される。

  • 印刷会社は雑誌取次業者に、過去の実績と能力を知らせることで、彼らと取引できるようになる。

  • プロダクションが制作する雑誌のデジタルイメージの受け取り手として、印刷会社は雑誌ビジネスのインターネットサイドへの参入機会が得られる。

 Dビジネスフォーム

  • ビジネスフォーム印刷は、印刷産業がどのように変化を受け入れるべきかについての教科書的なケーススタディーとなった。他の分野において商業印刷会社は、過去10年間でフォーム印刷会社と流通会社が取り入れたコピー戦略を調べることによって、多くのことを学んだ。このような印刷会社は関連するドキュメントマネジメントサービス市場やその他の印刷マーケットへと展開していったのである。

  • 電子的手段への代替は、多くの印刷製品が代替可能であることを示している。中でも、取引書類や法的、立法上の書類がどんどん電子化されている。これらを作っていた印刷会社は電子化がさらに進むにつれて、今後の数年間で自分たちの事業を継続的に再定義する必要がある。近年、米国で電子署名が法的に承認されたが、このことは各種証明書類の電子化を加速することになる。

  • フォーム印刷会社が縮小するこの分野で生き残るためにとりうる創造的な手段はたくさんある。このような努力は顧客とのパートナーシップを強化し、そのニーズを理解して先取りすることが必要である。

 E書籍

  • 今後、書籍印刷会社は、単なる印刷屋ではなく、出版社のパートナーとなることが求められる。

  • 現在はまだ開発途上のE-Booksは、将来購入する人が増えることと単価が低落することで、従来型の書籍を脅かす。

  • 書籍のデジタル化は書籍の内容の再編集したり再利用することを自由にする。成功する印刷会社は、この過程においてビジネスチャンスを探している。

  • 書籍のデジタル化は書籍の可能性を大きく広げるものである。特に、増刷に不向きだった書籍に適している。印刷会社が提供しているプリントオンデマンドの能力は、このような書籍にとって重要な市場を発見する可能性がある。

  • 売れ残りの書籍のコストは、引き続き削減が求められている。このことは、出版社や書店が新しい書籍に流通形態、販売方法を考える動機となっている。成功する書籍印刷会社は積極的に顧客のこのコストを削減するように取り組んでいく。

  • 書籍印刷会社はオンデマンド印刷と従来型のオフセット印刷機を組み合わせて、出版社の在庫と返品の削減を図る。

  • 新しいデジタル技術を使い、新たな機会を開拓することで、創造的な書籍印刷会社は自分たちのマーケットの機会が変化していることを理解しようとしているので、出版社にとってより価値のある資源となる。

  • プリントオンデマンドは、書籍印刷の一部が中央での印刷からより顧客に近い場所での分散的な印刷に移ることになる。印刷会社はこの傾向を認識し、どのような役割を果たせるかについて十分考える必要がある。

  • 他の印刷会社もオンデマンド市場に参入することが可能となる。それは、書籍印刷業界の性格が変化しているからである。

  • 小学校と中学校の入学者は2006年以降減少を始める。おそらく、教科書や他の教材の需要も減少するだろう。その一方、大学レベルの入学者は今後10年間は増えていく。

  • 大学のテキストの電子配信は、将来、すべての学生がネットワークにつながることを意味している。教科書やその他の教材を素早く印刷し、製本する能力が提供されているので、このような場面や似たような他の場面では商業印刷会社に機会があると考えられる。

  • 書籍印刷会社は、俊敏で確実に新しいビジネスを評価し、従来の市場の先にある新たな機会を探すことが求められている。

  • インターネット、電子出版、新たな教育需要、新たな書籍印刷に対するニーズを無視して従来の仕事のみを続けている書籍印刷会社は今後の10年間の後半で後れをとることになるだろう。

 Fパッケージ、ラベル、軟包装

4.印刷市場の見込み

(年率)

  ’01-’03 ’04-’06

Books

Magazines

4.5%

5.6%

4.8%

5.0%

General Commercial

Catalogs

4.7%

5.3%

4.6%

5.4%

Directories

Direct Marketing

Business Forms

2.8%

4.5%

-5.7%

2.5%

3.7%

-3.5%

 

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